213点盛

213回点盛り
木簡の埋もれし野辺や花馬酔木 利◎耕○比恵
うまいね、奈良、大和に響くね
虫出しの雷や今宵は坊泊り 利耕◎
今宵が余分だと
六郷の畔に麦の青めける
ジャズ流るマンハッタンの焼栄螺
マンハッタンにはジャズがあふれているみたいでは、なんでもよくなっちゃう
啓蟄や故宮のちちろ動くかも
故宮のちちろでは、故宮に生息するちちろで、季語性が濃くなるでしょう、台北故宮博物館にての前書きで
恵一
壷焼の炭にしたたる忘れ潮 美◎正◎
よくできていると思います、しかし忘れ潮というのは潮が引いてできた潮溜まりのことというはっきりした意味がありますので、サザエの中に滞留する海水あるいはそれに近い体液を表するには不適当なのであえてとりません
馬酔木咲く唐招提寺風騒ぐ 利○美
啓蟄の買はれし子犬檻を出づ 利○武 
たちのぼる沈丁の香や通り雨
雨でなにかが匂うのはひとつのパターン、形ではありますが、季語が動きます
きらきらと風渡りきて麦青む
良いかとも思ったが、きらきらと風ってのは風光るに限りなく近いから、ちょっと点数が落ちました
直人
啓蟄の土もつたりと鋤にのり 利恵○正比武◎
啓蟄頃の土がもつたりなのか、ふつくらなのかどうなのかはそれぞれの感覚であって決まりではないから共感するか否かは読み手しだい
青麦や緩みし風に利根筑波 利○
壷焼きや犬吠崎は風の中
藪椿隠せし奥を訪ねおり
分からん!
菜の花をかき分けて見る九十九里
ひまわり、サトウキビなどならだが、菜の花のイメージでは掻き分けないね、実際がそうでも、そうしては共感は得られない
白美
山裾の離宮の畑麦青む 利◎
桂離宮?(利)、いや、修学院でしょう(正)
お披露目の舞妓去りて雛の夜 利○比 
いなくなるよりいた方が良いです
壺焼や自殺止める立看板 利美○
東尋坊辺りかね
裏山に馬酔木咲き満ち花頭窓
こうすればなんとか、窓から裏山の馬酔木が見えると読めるでしょう
啓蟄や幾多郎の家見失ふ
西田キタロウ、生家が小さなものなのでしょうか、誰も説明できませんでした
耕平
取込みしシャツの温もり麦青む 利○比◎恵◎
温しの季語性というのは扱いが難しいが疑わしきは使わずがよろしいです
長閑なる杖つく人の大欠伸
誰かのやっていることを眺めているのではなく、自分を詠む事をしないと俳句になりません
啓蟄や剥がれし菰の焼かれける
剥がすと焼くの間に時間経過があるようで落ち着きません
壷焼きや刺ある二つ網の上
馬酔木咲く品数増へし無人市
馬酔木咲くという動詞の終止形での切れは品数にかかる連体形でもあるので切れがあいまいになります、増ゆ」はハ行には活用しません、四天句会は教養を重んじます
武甲
流れくる校歌斉唱麦青む 利○耕正○
流れくるってのは、当事者でもないし、立場が曖昧でいかん
幼な字でつづる添へ文流し雛 利正比○
幼な字はいかんです、無理してもきちんと、添え文は子供っぽくないです
啓蟄や揺れる木の葉に目を凝らす
熊が穴を這い出すところに遭遇しました!といわれても、うん分からない
壺焼きの苦み最後に舌を刺す 
馬酔木やボタンで閉める客車ドア
美子
税務署に人行列し花馬酔木 利武正
税務署に馬酔木があるか?あったって良いジャン!
壷焼の腸尾螺旋に垂れ下げて
啓蟄の義母に気安く触れていて
介護など、自分の中に入り込むと見えてきません
春の陽に包まれていて救急車
消化器科病棟を出て麦青む
消化器病棟では出てくる状況が見えない
比呂四
壷焼の沸々として殻はぢけ 利○武○
はぢける>はじける
庭影に陽を注ぎ込み白木蓮
花馬酔木ペンキ新たなベンチかな
句の末尾のかなは、句を一章に仕立てる方がおちつきますので、上句での切れがあるときには、かなで終わらない方がよろしいです
流れ来し風を弾きて麦青む
啓蟄や穴のまはりの土白む
虫穴を出るで、啓蟄と穴はベタ即きです
利孟
寄合の議事に異議なし麦青む 耕恵美武
だみ声の軍手火鋏壷焼屋 恵美
啓蟄や起きぬ子を抱き出る電車
朧月カクテルグラスに飾り塩
花馬酔木菊一文殊の青鋼
奈良の打刃物が名物だというのがわからなければ、さらにその老舗菊一文殊は分からんのは当然で詠み手が悪い