第220回四天句会
平成19年10月30日

   
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兼題 寒露 角切り 金柑
席題 柞


  利孟
金柑を洗ふ飛沫を輝かせ
玉砂利に足取られゆく寒露かな
角切らる蹄虚しく宙掻きて
柞径石塊ひとつ置く祠
青すだち三親等より無き身内

  恵一
武蔵野の柞もみぢや銀の空
角伐りしあとの大社の寂として
黒塀に金柑映ゆる朝かな
夜空ゆく鳥の影踏む寒露かな
人去りしベンチかがよふ花薄

  比呂四
金柑の蜜にふやけてゐたりけり
節々のジャズに酔ひしれ秋の夜
角切られ放たる鹿の水による
ずつしりと坐骨の重き寒露かな
幻影の柞の森を駆け巡り

  美子
ハロウィンの南瓜の灯し仮装の子
山錆て地は赤銅の柞かな
生簀より釣られて烏賊の啼く寒露
角切の鹿の荒息勢子の息
金柑を買ひて昭和の香を求む

  武甲
講評に悲喜こもごもの寒露かな
金柑を植ゑて新居の華やげり
角切りの漢苦も無く鹿押さへ
豊穣を祝ふ柞の社かな
カーナビが告げる迂回路紅葉狩

  耕平
野良着干すときも腰曲げ寒露の日
獣めく勢子の鹿追ふ角切り場
体育の日の湯にほぐすふくら脛
裏庭の金柑たわわ黄金色
湖畔から柞紅葉の山仰ぐ

  白美
大窓に富士のふくらむ寒露かな
金柑の実の数ほどよ少女の恋
塾という柞紅葉の降る学舎
紅白の幔幕回し角切り場
十月や弥勒菩薩の陰ふかく

  正
山頂の白くとも見え寒露かな
雨に濡れ柞紅葉の朱をこぼす
虚咳に賜る母の金柑煮
角切られし鹿の啼く夜のいと淋し
人肌のぬくもり恋し暮の秋

  義春
金柑や隣の庭の明るくて
秋の日や妻と語らふ露天風呂、
角切りや歴史をしのぶ一人たび
終業時暗くなりたる寒露かな
水汲みに辿る柞の小径かな