第261回四天句会
平成23年5月18日

   
兼題 早苗饗 業平忌 浮巣



   恵一
◎ 新樹光鼻息荒き神馬かな
○ 五月雨や畳紙に漏るる防虫香
  山の湯の椅子にうたた寝早苗饗
  他の男かすみて久し業平忌
  合羽着て浮巣の卵見て帰る

   あや乃
○ 近道のつもりで迷ひ若葉風
・ 早苗饗や日がな開いた厨口
・ 青蔦に潜むアトリエ業平忌
  夕さりの池も浮巣も黄金色
  木香の黄色まぶしき寺の町

   比呂志
○ ウィンドウで直すネクタイ業平忌
・ 路地奥に筍飯の香りけり
  早苗饗や一升瓶を抱へをり
  塩梅の良きほどに浮く浮巣かな
  何ごとも早きがよろしクールビズ

   義春
・ 早苗饗や早乙女頬をほてらせて
・ 湖の寄り来る浮巣波枕
・ 掌に引きの余韻を残し海へ茅渟
  業平忌水は青色竜田川
  塩をふり又塩をふり夏蜜柑

   雨竜
・ 鳰の湖安土の城の浮巣めく
・ 早苗饗や人の集ふが祈ること
・ こどもの日人の途切れぬ高尾山
  燕子花一束抱へ業平忌
  行く蟻や滴り落ちる玉の汗

   利孟
  早苗饗の風呂を勧めることを先づ
  韓流といふ熱狂や業平忌
  鳰浮巣比叡の山より雨の来て
  更衣長押に数多衣紋掛
  薫風や果樹園店の戸を閉ざし