第274回四天句会
平成24年6月19日
   
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兼題 雹 吊忍 甘酒


  利孟
雹乱打して鶏小屋のトタン屋根
一夜酒回り舞台を人押して
コロッケに千切りキャベツ軒忍
皆が黙す喫煙広場の朝涼し
氷水食らひ頭痛の種増やす

  義春
梅雨明けの木曽路に木の香溢れゐて
花菖蒲畦にとどまる車椅子
舞妓坐す置屋の廊下吊り忍
甘酒や琴の音遠き六義園
湯の宿にどどどと来たり雹の珠

  あやの
下駄の音立てて提げ来る吊忍
杖を抱き遍路甘酒飲み干せり
番傘を鳴らし氷雨の神楽坂
朝涼の箒の音の歯切れよく
すずらんの花束握るリボンの児

  比呂志
起き覚めの窓に風入れ朝涼し
露浮かぶワインのボトル梅雨入りかな
甘酒にやがて色差す下戸の頬
ベランダの物干し竿の吊り忍
大粒の雹に身を避けご神木

  恵一
雨上がり雪渓に立つ水蒸気
天水桶の溢れんばかり青みどろ
釣忍朝日さしたる海鼠壁
木杓子に掬ひて味見一夜酒
ボンネットに雹はづませて行く車

  武甲
無意識に手繰る肌掛け朝涼し
土手の土抉りて下る梅雨出水
甘酒を添へる気遣ひ老舗宿
屋根を打つ雹に話は大声に
風止みて戻る静けさ吊り忍

  雨竜
多摩川の流れ豊かに一夜酒
里山の日影の谷戸の朝涼し
赤信号日暮るる軒に釣忍
拳大の雹になりしや屋根瓦
雲の峰眉間の谷に雨が降る