第279回四天句会
平成24年11月20日(火)

   


兼題 秋深し 秋灯し 紅葉
席題 酉の市      .

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ご興味のおありの方はお探しください



  利孟
福寄せる爪のおほまか福熊手
足見せぬ姫や奥方菊人形
吊橋に揺られて紅葉谷浄土
秋深し電球音を立てて切れ
秋灯しおがくづを敷くパブの床

  あやの
散り紅葉径のはずれの漢方店
秋深し古民家の夜のジャズライブ
イルミネーション脹る時雨の丸の内
子の使ふアイロンの音秋灯し
山茶花のうす紅冷ゆる雲の色

  比呂志
古書店の古書の山積み秋灯
大熊手縄で括りて赤鳥居
値決めする阿吽の呼吸酉の市
ロープウェイ眼下一面紅葉谷
秋深しひそひそ声の襖越し

  武甲
スカイツリーの見下ろす人出酉の市
秋灯に力をゆるめ仁王像
課題曲幾度もさらひ秋深し
鳥刺しの熟柿の陰にひそみけり
山寺を紅葉狩りして弾む声

  義春
野仏の膝に一葉もみぢ散る
寄る店の馴染のおやじ酉の市
秋の灯や昔ばなしの南部弁
渓流に張り付く宿や冬の星
美濃和紙の便箋を買ふ秋深し

  雨竜
人分けて掴む繁盛酉の市
全山のもみぢ温もる日差しかな
水行のしぶきに光暮の秋
秋深し気儘な日々の絵本かな
秋燈下古き日記を流し読み

  恵一
秋深し夕日の映る連子窓
父の手を固く握りて酉の市
夕闇や一秋灯に一家族
倒木になほ冬芽のぶ湖畔かな
岩に生ふ小さき野ばらや紅葉せる