第283回四天句会
平成25年3月19日

   
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兼題 啓蟄 菜の花 春光
席題 雛納め



  利孟
笏扇無き手の遊ぶ雛納む
啓蟄や松飛び飛びに御成道
春光やたものあくたを掻き分けて
菜の花や椀に泡立つ山羊の乳
出陣といふ身拵へ涅槃吹き

  あやの
啓蟄や足場解かれし新校舎
春光や吊られて売られ子供下駄
菜の花の土手を抜け行く総武線
地虫出づバイクの高き排気音
隣家より朗読の声ヒヤシンス

  武甲
春光へクラブ納めの矢を放つ
小さき手の添へる樟脳雛納め
菜の花や事故実況の中継車
頬染めて一人舞ふ子や春祭
啓蟄や飛翔を前の身づくろひ

  比呂史
春光や三洲瓦のにぶき銀
国道の先のとけゆく花菜畑
ふんはりと顔をくるみて雛納め
啓蟄や揃ひ腕振り老夫婦
歓迎の宴の紺色新社員

  義春
菜の花の黄色のわだの原うねる
春光の空に渦巻く土埃
啓蟄や瀬の音満ちる伊豆の里
紅梅の蕾ほのかに匂ふかな
母親の嫌われるとき雛納め

  雨竜
雛納めいつしか妻の独り言
春光や赤の頭巾の菩薩像
菜の花やいざ鎌倉へ駆け上る
春の雲烏一声鳴き捨てに
啓蟄やのたりと現れて青蜥蜴

  恵一
世の巡ることも目隠し雛納め
菜の花の黄のきらめきて神田川
春光やこのごろ多き独り言
菊炭の花芯の燠となり残る
啓蟄のデパート売場スーツ買ふ