第291回四天句会
平成25年11月19日(火)

   
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ご興味のおありの方はお探しください


兼題 紅葉一切 猪 行く秋
席題 茶の花




  利孟
照り紅葉熊野神符の烏文字
吊るされて疾駆のかたち猪の脚
敵意持つかに硬き棘葉付き柚子
秋行くや満願寺に杖納め
擦れ違ひ難き旧道お茶の花

  あやの
担がれし猪につく草と泥
秋深しネットで捜す絶版書
おでん買ふサイクリングの脚止めて
秋行けり烏の声も風音も
伸び縮む自転車の列もみぢ燃ゆ

  恵一
茶の花や雄叫びあふる剣道場
逝く秋の砂丘を越ゆる駱駝かな
休耕の田に猪の泥遊び
大谷石作りの聖堂火恋し
夕紅葉真葦毛の神馬いななけり

  武甲
行く秋の斜陽に染まる紫禁城
茶の花や寺へと続くゆるき阪
山紅葉尾根に発電風車群
初霜をまとひ地蔵の涎かけ
猪の親子のもつれ泥遊び

  雨竜
照紅葉地下鉄地上駅に出て
行く秋や傘に闇夜の雨の音
猪の鼻先ふさぎ電気柵
台風の雨排水溝を駆け抜ける
茶の花や茶うけの香香掌に受けて

  義春
図書館を出れば蒼天文化の日
猪の鼻の高さの電気線
竜田川岩を埋め尽くす紅葉かな
行く秋やお喋り絶えぬ汽車の旅
茶の花や茶所農家の庭の松

  比呂志
坂多き高輪辺り石蕗の花
行く秋や電球の灯の赤み増す
水面から天へと染めて櫨紅葉
酉の市屋台あれこれ比べては
茶の花を前に駅弁食べ始む