294回点盛り
利孟
これ食うてゆけと早や立ち蜆汁 義◎
眉覗く丈に髪切り春立つ日 あ比○
踏み跡に並ぶ星型春の雪
やはらかき餅と焙じ茶伊勢参り
爪の泥までのぬくもり蕗の薹
比呂志
立春の陽を正面に受く神社 利◎あ○義
春立つや桶を抱へて金春場 利○義○
蜆汁のみを飲み干し出勤す
よちよちの足裏平たく蕗のたう
内宮の空気の清く伊勢参り
義春
宍道湖の靄に寄る舟蜆汁 利あ◎
立春や雨戸の節穴抜く光 利比
お土産の数を数へて伊勢参り 
同郷のおかみの笑顔ふきのたう
日の丸の跳び立つ空や春の雪
雨竜
講釈と酒繰り返し蜆汁 利比◎
雪深し靴跡朝まで残りけり 利○
春立つや暦の上に花書きぬ
蕗の薹女子高生の歩く街
恵一
蕗の薹小川に鮒の跳ねる音
蜆汁飲むや深夜の牛丼屋 利あ
立春の耳朶熱し触れたれば
伊勢参りええじゃないかと打ち壊す
片方のブーツ転がる雪野原
あやの
掌にのるだけ摘みて蕗の薹
献立帳残せし女優蜆汁
夕刊に射す立春の光かな
伊勢講のみやげに貰ひ干蜆
落雪を除けてものの芽確かむる