第299回四天句会
平成26年7月15日

   
兼題 風鈴 鰻 梅雨明け
席題 蚊遣



  利孟
辻曲がり風鈴売の風拾ふ
味浸みた終の一粒鰻飯
時に炎をあげてはいぶり草蚊遣
トマト食ぶオリーブオイルの青き香で
梅雨明ける角の擦れたる予約券

  あやの
鉄風鈴祖母の変はらぬ束ね髪
伸び放題の蔓のあれこれ梅雨の明け
蚊遣香四隅に墓所の読経かな
だぼシャツの翁一途に焼く鰻
虹消ゆるまで病む人の明るめり

  義春
貝風鈴バリの真闇のケチャダンス
梅雨明けや蝋の封切るウヰスキー
湯上りの白きうなじや蚊火の宿
打ち水や子のフィアンセの来る朝
鰻屋の煙は列に流れ居り

  比呂志
天秤に担ひ音売る風鈴屋
迷走につぐ迷走や台風来
鰻焼く狭き店内けむり満つ
梅雨明けや風呂場の窓を開け放ち


  恵一
風鈴の鳴るや真昼の漁師町
鰻食ふ重をはみ出すところより
監視員詰所煙らせ渦蚊取
氷入りビニール浮かせ海老を売る
梅雨明けや外野は大き声上げて

  雨竜
草むしり終へた広さの我が領地
鋼の刃真一文字に鰻割く
蚊取の香寄せては浅き眠りかな
風鈴や屋台ですする中華そば
梅雨明けて噴水一気に上り下り