第300回四天句会
平成26年8月19日

   
兼題 百日紅 宵闇 花火 残暑
席題 花天瓜


  利孟
宵闇や青磁香炉の仄ひかり
残暑なほ井戸のポンプは汗掻いて
吹き溜まる塵に赤さの百日紅
耳ふさぎ母の肱の揚げ花火
烏瓜咲き初め風の揺れにけり

  恵一
烏瓜咲きて縹の闇深し
宵闇やカレーの匂ふ路地過ぎて
つぶれやすきペットボトルや街残暑
遠花火ビルの狭間に開きけり
百日紅ギターのデュオの置く帽子

  武甲
独り居の気丈の電話百日紅
鳴き急ぐ命の声や秋暑し
宵闇や開演を告ぐ大音響
大花火弾けて闇の震へけり


  あやの
宵闇や外苑通りのそぞろ神
烏瓜咲きてしづもる夜の庭
カレー屋の吐き出す風や街残暑
合掌の見送り幾度百日紅
玩具屋の花火屋となる昔かな

  義春
澄み渡る法主の読経百日紅
廃校の草の校庭残暑かな
尺花火開き大地の震へけり
宵闇や味噌に焦げ目の五平餅
ひつそりと咲く烏瓜村眠る

  比呂志
宵闇や盛り塩あかき灯を返す
大川を光りで埋めて揚げ花火
長々と綴る挨拶残暑かな
烏瓜の花暗闇を捉まへて
細々とこまごまとして百日紅

  雨竜
烏瓜の花は闇夜を切り取りて
宵闇に浮かびだしたる山の際
肚くくる気分残暑の日向へと
ジーンズの丈を短く百日紅
遠花火観衆咲かせる傘の花