第303回四天句会
平成26年11月18日

   
兼題 時雨 七五三 葱
席題 蕎麦掻



  利孟
泥の皮一枚薄く剥げて葱
電飾の白の煌めき十二月
蕎麦を掻く束の間鬼の顔となり
鏡台の中に変身七五三
片時雨浪花に水を落とす堰

  恵一
バスの扉の開けば時雨の匂ひかな
蕎麦掻きや遺産分与の密談も
紙エプロンかけ食ぶカレー七五三
司法書士事務所の出窓菊末枯る
白髪葱掛け放題のラーメン屋

  あやの
時雨るるや入口高き連歌ビル
ぶつ切りの葱焼き南部鉄の鍋
おかつぱの赤きほつぺや七五三
寝泊りは車の絵描き山粧ふ
善光寺詣で土産の今年蕎麦

  比呂志
焼き葱のまづ一口と舌を焼く
とろ箱に腹を並べてずわい蟹
蕎麦掻をくづししんみり呑むひとり
立ち話終はることなく七五三
移り気な女と知れて小夜時雨

  武甲
そば掻きや手酌に弾む囲碁談義
軒伝ひ醒めるほろ酔ひ小夜時雨
三代が笑顔で並ぶ七五三
初霜や鳥静かなる朝木立
赤煉瓦積みし古井戸根深掘る

  義春
焼牡蠣を喰らひ天心六角堂
三代を伝へる晴着七五三
籠りたる図書館の窓時雨けり
こだはりの白を刻みて薬味葱
蕎麦掻や卓袱台に寄る三世代

  雨竜
軒下に束ねて吊るす葱の苗
吾子の手を小さく握り七五三
銀輪のしぶき小さく時雨かな
青空に朝日を被る銀杏かな