第315回四天句会
平成27年11月18日

   
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兼題 返り花 立冬 白鳥
席題 籾




  利孟
粗き目にかからぬ小銭福熊手
庭下駄で渡る飛石返り花
籾を焼く煙の香トロツコ列車行く
白鳥の声降る暗き雲間より
冬に入る榊の水を取り替へて

  恵一
夜の沼白鳥首を背にのせて
犬に傘さしかく子供冬に入る
鶏追ひて庭にひろぐる籾筵
ジョギングの少女に揺れて返り花
山茶花の落花あたらし掃き残す

  比呂志
ゴールデン街に野良犬酉の市
白鳥の羽搏ち水面に立ち上がる
立冬や手帳に予定書き加へ
籾殻を焼き終へてなほ火の残る
指を差す先に小振りの返り花

  あやの
籾干すや軍鶏のやにはに高鳴いて
立冬のジャングルジムに子がひとり
餌を漁る白鳥嘴を汚しては
産院の窓辺銀杏の黄に埋もる
口髭を撫づる先生返り花

  武甲
鈴鳴らし分ける山径帰り花
小春日や村を挙げての映画ロケ
空すべり下りて白鳥着水す
立冬や仕込みを前の吊るし干し
実家より届く籾米麻袋

  雨竜
座り込む白鳥背ナを伸ばしゐて
返り花ゐざる人ゐる街の角
走り行く犬の短足冬来る
青空の下や千歯で零す籾
山々を駆け下りてゆく紅葉かな

  義春
比良山に急ぐすじ雲冬来る
夕去りに庭掃く僧や返り花
七五三ニンニンジャーの巨大絵馬
白鳥の所作はシテ方観世流
籾干して農家全員破顔なり