第322回四天句会
平成28年6月9日

   
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兼題 蟇蛙 黒南風 如雨露
席題 青蔦



  利孟
鉢にやる米の研ぎ汁ひきがえる
カリオンに送らる柩蔦青し
黒南風や研がれて寸の減りし出刃
金魚鉢へ金魚の如露で降らす雨
夏の夜の手を打ち喉を絞りファド

  あやの
取り壊す木造長屋濃紫陽花
草を抜く手にうごめきの蟇
白ペンキ剥がれたテラス蔦茂る
如露の水やれば発芽の兆しかな
黒南風や暗き灯の入り青年会

  武甲
どよめきの詰めよの一手白扇子
花時計象さん如雨露の並べられ
蔦茂る被災五年といふ月日
真夜中の土間にわく翳ひきがえる
黒南風や瓦積み上げ屋根普請

  義春
雨の降る夜道に坐して蟾蜍
青蔦や賛美歌流る礼拝堂
如雨露買ふ細き芽の出るプランター
黒南風の岬回りて巡航船
さつき咲く陰に隠れて無縁墓地

  恵一
黒南風に揺れ観覧車雲の中
蟇二匹折り重なつたままにかな
両の手を結び白衣の滝に入る
青蔦やトンネル抜ける風に揺れ
姉弟如雨露で水を掛け合って

  比呂志
角打ちの客のさざめき蟇蛙
奉迎に応へて御手の夏帽子
黒南風やベッドの母の背をさする
放物線一斉に描きじよろの水


  雨竜
青蔦や散水ホースの巻かれぐせ
万緑や園児の語る物語
飛騨の山水一滴の如雨露かな
黒南風やプラットホームの人だかり
庭石の陰に動かず蟇

  翠江
蟇歳時記からも身を隠す
南北のバランス乱す黒南風か
ジョロの水温水となり花枯ぶ
最接近毎日見上げる赤い星
我が友と本音で語る心地よさ