第323回四天句会
平成28年7月15日

   
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兼題 水馬 梅雨の星 水羊羹
席題 青蛙



  利孟
梅雨の星塀より塀へ猫の径
釣瓶井の闇にあづけて水羊羹
墓石の家の字に棲み青蛙
就活の蟻よ烏よ梅雨深し
にはたづみの空に遊弋みづすまし

  武甲
水羊羹見慣れし文字の送り状
長三声のサイレン響き梅雨晴れ間
毒持つと伝はる話青蛙
夜どおしに仕上げる工事梅雨の月
水面をリニアの如くみずすまし

  あやの
紅灯に洩るるボサノヴァ梅雨の星
どしやぶりに四肢のふるへて青蛙
手応へのなきを楽しみ水羊羹
ぜんまいの解ける勢ひ水澄し
鉄風鈴くらき肘掛け窓にかな

  雨竜
水羊羹客間は風の通り道
水馬鯉の頭の上をかな
梅雨の星こうもり傘で突き上げて
五月雨や白川郷の鎧武者
葉の上に緩める手足青蛙

  翠江
水堀に五輪を描きみずすまし
練りきりの上に輝く梅雨の星
源平の栄枯盛衰ほたるの火
風船の剥けてまん丸水やうかん

  比呂志
雨粒へ舌を伸ばして青蛙
静かなる水面のくぼみあめんばう
登板の投手にライト梅雨の星
絹ごしの喉に解けて水羊羹
平成二十八年参議院議員選挙
低迷の投票率や酷暑来る

  義春
青蛙葉の上に揺れ森に溶け
水羊羹よう冷えとると独り言
あめんばうスキップ一つ二つ三つ
百日草庭で弁当寺男
戦国の英雄伝記梅雨の星

  恵一
梅雨の星出でて草木の匂ひ立つ
漣にまたたく瞼あをがえる
隧道の出口に朝日滴れり
水羊羮竹筒にあり掬ひ食ぶ
跳びはねてぶつかるもあり水澄し