第325回四天句会
平成28年9月8日

   
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兼題 赤蜻蛉 名月 新松子
席題 新豆腐



  利孟
秋暑し江戸文字踊る大提灯
石臼の音夜もすがら新豆腐
赤い実が欲しと色白赤とんぼ
隠し子に似て庭前の新松子
新米と言はれ味佳き今朝の飯

  武甲
水玉の切子の小鉢新豆腐
名月や天守の雲の合間より
赤蜻蛉群れて湖畔へ誘へり
台風来バスに乗り込むツアー客
もの言はぬ庭師の親子新松子

  雨竜
名月や五右衛門風呂に蓋沈め
命日の墓に置く酒残暑かな
連子窓の暗き回廊赤蜻蛉
新松子見つけて叫ぶ隠れん坊


  恵一
赤とんぼ止まりて翅をゆるめけり
ゆふぐれになると泣く子や酔芙蓉
仮借無く雨打つロッジ新豆腐
新松子日のぬくもりを残しをり
名月や猫の子五匹生まれたる

  義春
群れてなほ音なき羽音赤蜻蛉
毬栗に透ける夕日の黄金色
日本の女性の強さ新松子
名月の睡る集落木魚かな
青い空白雲からめ露の中

  比呂志
水あふる桶に移して新豆腐
竿先の鈴の一と鳴り赤とんぼ
雨風に耐へて海辺の新松子
大の字に寝入りて地震の台風下
名月や縁の障子をを開け放ち

  あやの
席替の淡きときめき新松子
味見して香を確かめて新豆腐
名月やスキップ響く五十肩
花種に描く猿のかほ虫の夜
背に網のボール弾めり赤蜻蛉

  翠江
居待月徳利倒して寝入りなり
赤蜻蛉切り絵を空に散りばめて
蹲踞の中に浮かびて今宵月
傍らに寄り添ふ親の新松子
一面の白き花穂の別世界