第332回四天句会
平成29年4月13日

   
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ご興味のおありの方はお探しください

兼題 桜鯛 花見 朧月
席題 苗札




  利孟
ワンコイン弁当束の間の花見
炉を塞ぐ灰に波目を描き均し
鉢替へる苗札の名をなぞり書き
桜鯛眼うつろに鯛の鯛
「看板」の声で閉店朧月

  恵一
鴨川の河原の阿国おぼろ月
苗札に花の写真を添へ挿しに
桜鯛鳴門の渦に磨かれて
大テント河原に山岳部の花見
引退を決めたる選手夕桜

  比呂志
風に咲き風に散りたる桜かな
苗札の一文字黒く塗り消して
菩提寺の縁に上がりて花見かな
青白きものに惹かれて朧月
鍋に尾を跳ねて納まり桜鯛

  あやの
月おぼろ更地に残るポンプ井戸
石鹸玉何でも姉を真似たくて
苗札にそぐはぬ生りの花ひとつ
新調の小さき制服桜鯛
人あふる花見、パンダに美人画に

  武甲
廃校の暗きズリ山朧月
瀬戸内の潮に抗ひ桜鯛
山塊に薄絹かける霞かな
灯点して賑はす花見目黒川
苗札の四月一日といふ日付

  義春
雨音も愛でて上野の花見かな
金毘羅の磴ゆく駕篭や一夜酒
子規生まる十五万石朧月
苗札や文字の薄れて苗育つ
桜鯛好みて游ぐ潮の渦

  雨竜
花疲れ背広にはなの一二片
苗札を抜いては読ませ子供連れ
夜桜や千鳥ヶ淵の波しづか
イベントの開催中止朧月
桜鯛顎を突き出す笊の上

  翠江
咲き初めの一輪だけの花見かな
咲く花のもったり香る朧月
包丁を捌きあぐねる桜鯛
燗酒に散る花びらを受けて飲む
苗札を立てたところも忘れけり