第334回四天句会
平成29年6月8日

   
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ご興味のおありの方はお探しください

兼題 朝凪 父の日 トマト
席題 素麺




  利孟
音の良き鋏と軍手トマト摘む
朝凪や現の証拠を煮る土瓶
三年のひね素麺の黒き帯
父の日の孫の写真のつくメール
身じろぎもせで目の動く燕の子

  武甲
朝凪やジャージ揃ひの整列す
泥んこといふことを知る田植えかな
宅配の荷にレシピと島辣韮
父の日と嘯き秘蔵の大吟醸
道の駅妖精といふ名のトマト

  あやの
朝凪やデッキチェアーに身をゆだね
つゆの香の厨に残り冷素麺
朝摘みの甘きトマトと卵焼き
濃紫陽花独身寮の塀覆ふ
海夕陽父の日なのにと誰かごち

  義春
朝凪に豪華客船入港す
朝どれの甘きトマトと卵焼き
父の日や一本提げてローカル線
冷素麺子供箸から滑り落ち
ビストロの小皿に盛られプチトマト

  雨竜
さうめんの水のしたたり一人食ぶ
火の国の阿蘇のトマトの国興し
父の日の子の眠り乗る父の肩
睡蓮やアフリカ象の足の跡
朝凪や船宿からの掃除音

  比呂志
父の日の子より渡さる食事券
汁飛ばしもぎたてトマトにかぶりつく
流しさうめん四、五本目ほどを箸に掛け
朝凪や落ち着かぬ子の尻もぞもぞと
冬瓜の芯まで出汁の染みにけり

  恵一
父の日やパチンコ店に探す父
朝凪やわつぱ煮雑魚をあれこれと
出航の客船の灯や冷素麺
両手もて蕃茄もぎたり熟れたれば
口すぼめ桜桃の種吹き飛ばす

  翠江
日めくりに父の日とある日曜日
腋芽欠き指に残りしトマトの香
朝凪や時空を越えて歩みけり
花菖蒲子携えて咲き誇る
雨似合ふ花七変化カタツムリ