第336回四天句会
平成29年8月10日

   
点盛り表は、リンクをどこかに埋め込んであります
ご興味のおありの方はお探しください

兼題 風鈴 冷奴 鰯雲
席題 原爆忌


  利孟
濡れ縁の風鈴風を呼び込んで
盃舐めてより箸を割り冷奴
田水沸く上りの列車往けば昼
長崎忌瓦礫積み上げ天主堂
鰯雲波濤萬里の彼方より

  恵一
風鈴や筬打ちつづけ機織り女
折鶴の飛び立つ日なり原爆忌
白濁の白根山の湯釜鰯雲
金色の柳糸なだるる揚げ花火
一丁を二つに分けて冷奴

  あやの
式典のテント潰され鰯雲
室外機路地になりづめ黒揚羽
鉄風鈴夜明けの夢の中に鳴り
秘められし話新たに原爆忌
飽食といふ子の世代冷奴

  比呂志
定席の蕎麦屋の酒と冷奴
心地良き音聞き比べ鉄風鈴
稲光小屋出る事を拒み犬
天空を小札で覆いいわし雲
面影の映りし川面原爆忌

  義春
原爆忌大統領の折りし鶴
向日葵のしなりにしなり風の丘
小夜更けて街の風鈴メゾピアノ
冷奴国の溜りと薬味もて
鰯雲木の香仄かに金剛杖

  雨竜
夏終わる記憶の欠片つなげては
原爆忌鶴を折りたる手を合はせ
風鈴や首振る嬰に歯の生えて
さらさらと重なる雲や鰯雲
箸つけて角を崩すや冷や奴

  武甲
先付けに足したひとしな冷奴
先見えぬ向日葵迷路いわし雲
尖塔を闇に突き出す花火かな
語り部の言葉に詰まり原爆忌
風鈴の音色に託す願ひかな