第337回四天句会
平成29年9月14日

   
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兼題 桃 秋風 踊り
席題 稲



  利孟
学習田一人一束稲掛けて
金風の寄せて稲田の香り立つ
新涼や水に色増す鞍馬石
歩をゆるめ人を手招き踊りの輪
カンバスの線描画架へと香る桃

  あやの
直会の果てし社や天の川
稲の秋唱歌うたひて下校の子
秋風のすべり込みたる鏡店
ゆるみたる下駄の鼻緒や踊りの輪
桃抱ふ子の胸につく産毛かな

  武甲
秋風や肩に人乗る組体操
新妻の運転自在稲刈り機
留守電の桃を送ると母の声
豆しぼり締めて踊りの輪に入る
木陰得て杖を休める秋彼岸

  義春
日本海見下ろす棚田稲の波
輪の中の君を目で追ふ盆踊
秋風に吹かれて雲の白さかな
雲の峰までも届けと声あげて
白桃や赤子の頬をちょっと押す

  比呂志
掌に余るもぎたての桃喰みて吾子
陽の落ちて座敷を抜ける秋の風
稲の穂の黄金に光る棚田かな
好きな娘の手を取りて入る踊りの輪
持ちおもる重さを掌にし切る摘む葡萄

  恵一
桃を剥くちぎれぬやうに爪使ひ
踊りの夜光を湛へ少女の眼
向日葵の迷路や遠く海見えて
稲刈りの人の小さく着陸す
秋風やわれと語れよ影法師

  雨竜
人去りしショウウィンドウに秋の風
稲の香や無沙汰の父の墓参り
盆踊り息はずませて浴衣の子
白桃や猫の頭の肌触り
苅田面空には酸素満ち溢れ