第375回四天句会
令和2年師走9日
Zoomリモート句会
   
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ご興味のおありの方はお探しください

兼題 手焙り 熊 葛湯
席題 霜夜


  利孟
手焙りや銅の落としのへこみ疵
熊捌く血まみれの肝をまづ取りて
水を切り休ます水車霜夜かな
民具館となりし廃校枯葎
薄濁る甘さを掬ひ葛湯食ぶ

  恵一
熊の皮敷きてマタギの熊談義
手焙りや馬琴書き継ぐ八犬伝
大木を揺らし背を掻く羆かな
葛湯吹く少女は口をとがらせて
霜の夜の星空保護区波の音

  比呂志
手焙りに鏝を仕込みて針仕事
木の幹に深き爪痕熊の出て
枯芙蓉枝の隙間に枯れの色
赤青のあられを浮かせ葛湯かな
ピキピキと空気の軋む霜夜かな


  虚承
向かう岸足並み揃へ親子熊
リュウグウは宙の彼方に冬の星
綿綿と犬の遠吠え霜夜なり
葛湯飲む婆はドラマに涙して
手焙を置き朝ドラを見る八時

  あやの
薄紙のゆかしき袋葛湯溶く
人形の話し始める霜夜かな
小道具の火鉢に仕込む台詞メモ
手焙やプリント暗記の手をかざし
熊出没山の実りの少なくて

  義春
熱の子の多めの砂糖葛湯吹く
小さき手をかざし手焙り独り占め
熊除けの鐘を一打ち神の山
コロナ禍の延び延びし宴十二月
霜の夜の明けて牛乳瓶の音


  雨竜
湯桶持ち父に手引かる霜夜かな
鮭狙ふ熊一撃の水しぶき
ほんのりと喉をくすぐるくず湯かな
手焙りや右手に光る金時計
多摩川の鉄橋の灯の時雨れけり