第396回四天句会
令和4年9月13日 Zoom句会
   
兼題 鶏頭、走りそば、三日月
席題 台風



  利孟  
鶏頭やかつて厩の農具小屋  
走り蕎麦お試しセットの酒三種  
三日月や菰を抱へて佇ち夜鷹  
長旅の終の大荒れ野分過ぐ  
三日月の影のつかの間近江の海  

  恵一  
三日月や屋根のひしめく京町屋  
新蕎麦を打つや翁の力瘤  
鶏頭や洗車のしぶき跳ね散りて  
颱風や長き釘もて止め雨戸  
藍染や白のTシャツ甕に浸け  

  あやの  
秋澄むや練りては伸ばし飴工房  
門前の店の行列走り蕎麦  
地図帳に指さす島や台風来   
取合はせやうをあれこれ鶏頭花  
眉月や明日閉店の百貨店  

  比呂志  
法灯の消えぬ門跡三日月  
新蕎麦や老舗の古りし金看板  
秋の蚊の壁に止まりしまま落ちて  
鶏頭の赤ゆく玄関アプローチ  
つかの間の台風の目の青き空  

  義春  
颱風やシーサー屋根に目を剥いて  
山風に撫子伏して咲きにけり  
三日月や五浦海岸六角堂  
門前の幟粗挽き走り蕎麦  
離農家の庭の鶏頭欲しいまま  

  雨竜  
石臼の音に立つ香や走り蕎麦  
先をゆく妻の揺らして鶏頭花  
三日月や子の成長の早かりき  
台風裡旧街道の川となり  
稲穂垂る鎮守の杜の小さくて  

  虚承  
戸隠の三社巡拝走り蕎麦  
台風来警戒水位の赤き線  
磨ぎ汁のぬくき濁りや今年米  
三日月や石油ランプの灯の明かり  
鶏頭の植栽募る掲示板