第399回四天句会
令和4年師走13日 Zoom句会
   
兼題 寒晴れ 雪囲ひ 鍋
席題 千両




  利孟  
寒晴れや島に石積む烽火台  
背を丸め一人ねぎまの鍋つつく  
路地深く数多ホースの伸びて火事  
実千両鳥除けネットの赤き糸  
ひもすがら薄闇暮らし雪囲ひ  

  義春  
雪垣に屋敷わらしの閉ぢ籠もり  
禅寺の庭の蹲踞実千両  
寄せ鍋やてんでに好み取り分けて  
落鷹の一望にして伊良湖崎  
寒晴や信玄堤けふも尚  

  雨竜  
雪囲ひ組み上ぐ男結びかな  
冬の月白刃一閃させ居合  
ぼたん鍋丹波の宿の自在鉤  
寒晴れや南大門の仁王像  
花で埋め尽くす花屋の実千両  

  あやの  
すそわけの粒不揃ひの柚湯かな  
寒の晴抛り上げらる古紙の束  
秘密基地めきて児遊ぶ雪囲  
初めての顔も旧知も鍋囲み  
受診日を暦に写し実千両  

  比呂志  
躙り口出でたる先の実千両  
盛付けの肉の花咲きぼたん鍋  
永平寺修行僧組む雪囲ひ  
寒晴れや丸く広がる空の青  
万両の葉を傘にして実りけり  

  虚承  
ふぐと鍋女将の語る戦後譚  
新聞の今日の特集おでん煮る  
千両や四駆の唸る峠道  
鷹放つ信長夢の天下布武  
お点前を頂く茶屋の雪囲ひ  

  恵一  
能管や摘みし野菊の花筐  
寒晴や花魁裾を捌き行く  
もつ鍋の噛み切れぬもつ噛みしめて  
雪囲ひ縄の切れ端片付けて  
千両や頬杖ついて宿の卓