第407回四天句会
令和5年8月8日 Zoom句会
   
兼題 夜の秋 百日紅 空蝉 西瓜
席題 酷暑





  利孟  
夜の秋グラスの氷くづる音  
空蝉の見えぬ目空を見つめゐて  
朝夕に寄せる花屑百日紅  
二つ割りして裾分けの大西瓜  
風に会ふたび立ち止まり酷暑かな  

  比呂志  
耳元に弱き翅音や夜の秋  
自動ドア開き酷暑の襲ひくる  
早食ひの右へ左へ西瓜喰む  
空蝉のブロック塀に爪立てて  
こまごまと花のこぼれて百日紅  

  恵一  
百日紅屋根のかがやく大伽藍  
廃線の草むすレール西瓜食ぶ  
胴乱を掛けて酷暑の道それる  
夜の秋カスバの隅に弾くギター  
みづうみの岸に踏みたる蝉の殻  

  義春  
空蝉や熊野の歌碑に爪立てゝ  
エイサーの真昼の稽古百日紅  
手土産の糖度13大西瓜  
夜の秋手書きの祖父の兵役簿  
酷暑かな鶴嘴を打つ線路工  

  虚承  
発掘の刷毛で撫で掘り酷暑なほ  
パソコンにファンの音生る夜の秋  
祝宴の飾り細工の西瓜かな  
停止線に陰を落として百日紅  
空蝉や友の帰国の電話受け  

  あやの  
空蝉や路地に残りし木の電柱  
水割りと小皿のチョコと夜の秋  
校庭に始まる工事百日紅  
酷暑かなグリーンカーテン伸びに伸び  
ひな壇の正面を占め大西瓜  

  雨竜  
久方の友の葉書や西瓜食ふ  
空蝉や神宮の杜影深く  
猿声や肌を磨かれ百日紅  
口開けの酒の喉落つ夜の秋  
酷暑かなネオンサインの灯りだし