第409回四天句会
令和5年10月10日 Zoom句会
   
兼題 秋の日 葡萄 秋刀魚
席題 夜長



  利孟  
背伸びして使ふ鋏やぶだう狩  
秋の日や遍路バイクに杖くくり  
七輪に尾頭落とし焼く秋刀魚  
夜長かなバー内陣の低き床  
蒼天を埋めて耀き秋の雲  

  あやの  
五限目の黒板に射す秋日かな  
檸檬だの薔薇だの書いてみる夜長  
金木犀薫るや古りし独身寮  
直会の煙上げ放題秋刀魚焼く  
剪りあぐね鋏幾たび摘む葡萄  

  義春  
 知覧特攻平和会館
帰らざる若人送り木槿咲く  
秋刀魚焼く屋台に客の列出来て  
摘み頃の色を見定め葡萄狩  
秋の日や本堂に笑む観世音  
土産手に旅の思ひ出夜長かな  

  比呂志  
葡萄狩る高さに吾子を抱き上げて  
秋の日や丸まる太り池の鯉  
秋の蚊の腕に止まるを弾きけり  
真空管灯りレコード聴く夜長  
黒焦げとなりて秋刀魚の身の白く  

  恵一  
白き手が伸びて葡萄を摘みにけり  
海鳥の巣穴に潜る夜長かな  
秋刀魚焼くレンジホイルでカバーして  
断崖に遠望秋の日の釜山  
秋の日の波に揺られて沖の雲  

  雨竜  
日めくりをゆらりとめくり秋の風  
一粒を味見し朝の葡萄摘み  
秋の日の親子でメリーゴーランド  
落ち鮎を焼くや河原の石を組み  
チェロの音の止み終はる曲夜長かな  

  虚承  
落ち鮎の海へ世代を繋ぐべく  
姉妹都市の海の町より秋刀魚来る  
つぎつぎに追加の葡萄道の駅  
特注の吾が名のラベル今年酒  
人出入りするビデオ飲み会夜長かな