第411回四天句会
令和5年師走12日 グランドヒル市ヶ谷
   
兼題 霰 天狼星 冬薔薇


  利孟  
坪庭に赤を点して冬薔薇  
ぽつくりのころころ祇園の夜の霰  
数へ日の水で浄めて杵と臼  
秋の日の淡きに晒し剣道着  
天狼やココアのカップ掌でくるみ  

  虚承  
冬薔薇福音の地でありしガザ  
つぎはぎの鶏舎のトタン打つ霰  
天狼や溥儀の学びし民主主義  
汁粉煮る湯気の広がり寒稽古  
数へ日や床板固き剣道場  

  恵一  
月光に一輪白き冬薔薇  
天狼や銀貨一枚路の上  
ほほゑみの半跏思惟像夕あられ  
数へ日や名画座で食ふポプコーン  
北海道へ贈る焼き芋宅配便  

  義春  
伊予の海岬へ続く蜜柑畑  
葬列のフロントガラスを打つ霰  
数へ日の十手預けて湯屋へかな  
冬薔薇己が葉の上凜として  
天狼や戦ひ絶えぬ青き星  

  あやの  
忘年会までのひととき神谷バー  
天狼や犬の遠吠え止みて路地  
やうやくに蕾色づく冬薔薇  
霰すぐこぼれ地蔵の赤い屋根  
数ひ日や後回しするあれやこれ  

  雨竜  
夕霰吾をさがして母の声  
数へ日や弦音響く弓道場  
秋夕焼けキンコンカンの音白し  
天狼やゴビの砂漠の上にかな  
冬薔薇司法試験の日の決まり