第433回四天句会
令和7年10月7日  Zoom句会
   
兼題 秋刀魚 秋桜 野分


  利孟  
道床の錆びし砕石秋の雨  
火に焦げて油煙に染まり焼秋刀魚  
野分かな空のブランコ揺れ通し  
牧の柵沿ひの秋桜畑かな  
青臭き香上げ茹でられ落花生  

  義春  
曼珠沙華寺の崩れし築地塀  
倒れたる秋桜楚々と花付けて  
秋刀魚喰ふ妻手びねりの秋刀魚皿  
窓の外窺ふ教師野分来る  
ぼんやりと殻割りつまむピーナッツ  

  恵一  
己が身の油に焦げて焼き秋刀魚  
月白しコスモスの野を踏みゆけば  
白刃のひかり帯びたる秋刀魚焼く  
隣りまで飛ばさるバケツ野分あと  
圧力鍋鳴りて塩茹で落花生  

  虚承  
遠雷や休む間もなく稲を刈る  
城崎の外湯七湯初紅葉  
カクテルと小皿の落花生五粒  
秋刀魚喰ふ器用不器用それぞれに  
里山に舞ふ葉折れ枝野分後  

  あやの  
境内を煙塗れに秋刀魚焼く  
眩しみて箒を使ふ野分あと  
葦笛を吹くや色なき風に乗せ  
茹で上げて甘き歯ざはり落花生  
コスモスの野に人の声風の音  

  雨竜  
碧空や秋刀魚祭の火と煙  
天日干し振ればカラカラ落花生  
しなやかに揺れ群生の秋桜  
秋彼岸日射しに焼けた墓洗ふ  
暴れ川岸を洗ひて野分後