宗匠の一言
春泥に靴を奪はれ子の泣ける

腕白の頭小突いてお年玉
   頭数えてが元句、「殴りて」と声があったのを採用、暴力にならぬ程度で
日に弾む足音軒端の寒雀
   足音=アオトと読んで、○
青空へ掛けたる梯子出初式
   類句はありそうですね
鮟鱇鍋燈台の灯の届く宿
   燈台寄りの宿、だったのですが訳が分からないですからね
羽子をつく音のときどき露地の奥
   露地奥で羽をつく子がいないという句では駄目
手話の子の手を出すお礼お年玉
   目のキラキラとでは
初詣音を重ねてお礼駒(香車堂
   香車堂音を重ねて初礼駒が元句、どうもこの人は日本語の創作が好きらしいが、いくらなんでも初礼駒はいけません、特に季語を勝手に作ってしまうのは、よほどのことなのですから
蒼天に雲井調子の初音かな
   雲井調子とは箏の調律のひとつです、
田も畑もほのと湯気立つ淑気かな
   湯気に淑気を見るというのは結構ありますが、雰囲気ありますよね
湯気あふれさせ奮闘の年用意
   妻奮闘のでしたが、させ奮闘のに、いえ、男だって結構忙しくしてますから
筑波嶺の峰を引き裂く虎落笛
   これよく出来てます、筑波颪というのもありますしね
鴨上がる百羽の羽に陽を受けて
   飛び立ったときに羽が陽を受けている様子だというのでこのようになりました
人波に揉まれむと出る三日かな
   揉まれたく出る、となっていましたが
裏木戸の閂の雪雫して
   まだ解けずでしたが、あんまり否定形での描写は嬉しくないので
お年玉戦も飢ゑも知らぬ子等
   時事句として結構です
達磨の目開けて積み上げどんど焼き
   開眼としていましたが、達磨に目を入れるのと開眼はニュアンスが違います
もみぢ手の満面笑みのお年玉
   この句入選はちょっと甘かったかも
初夢の正夢なれと神酒干す
   初夢の余韻残して御神酒干すでしたが、余韻残してってのがわからん、こうすると、初詣で、あの夢が本当になりますようにという感じになる、それも御神酒と言わず神酒と固く発音すると、真剣に祈っているようですよね
年玉の品をあれこれ若夫婦
   品定まらず、同じことですが、こんな表現方法があるのですね
凍て鶴や二分遅れの始発駅
   終電車だったのですが、ま、暗くて見えないでしょうから
半襟に緑を選び着衣始め
   緑を効かせというのはどんなもんでしょうか、キソハジメと読む
霜焼けの頬で舌打ち女馭者
   女馭者、霜焼けの頬は捨てられないところ、馬をあやつる舌打ちでつないでみましたが
社会鍋ユーロ紙幣の二三枚
   ヨーロッパでの見聞とのこと、俄然面白さ失せました、嘘で良いから日本でと言うべし
寒卵黄身の厚きを箸で切る
   これは面白いですね
清らかに抜きし衣紋や寒椿
   控えめにとしていたのですが、それでは中途半端、清らかにも良くない添削ですが
聖樹の陽雨の歩道に零れけり
   雨の銀座って歌がありましたが・・
新築の家に大きな注連飾
   小さな注連飾りでしたが、ま、新築ですと景気良く行きましょう
初夢の賢治と歩きゐたりけり   
  素敵な初夢です