第95回 平成16年月7日11日

     比呂
☆ 胸までの水をたのしみ鮎の川
  小さき母より祖母小さく土用干し
  離りゆくほど梅雨波の昏みたる

     ともこ
  電線が空の入り口燕の子
  初蝉や樹下より埋まる駐車場
  梅雨の果てマウスの噛みし綿埃
  緑陰や椅子工房の木の香り

     芳子
  山法師太く薙落つ神の山
  地蔵様の滝の飛沫の苔衣
  みちくさの子供木苺熟れにけり

     良人
  人波にゆれ七夕の竹かざり
  やはらかに木洩れ日返す蝉の羽根
  築庭の庭師せはしき梅雨のあけ

     昭雄
  七夕や小さき星の名思ひ出す
  梅雨明けの白雲映す棚田かな

     清子
  青葦より水棹ひきぬき船を出す
  夢多き仮名の短冊星まつり

     敬子
  ログハウスに小人の人形星祭
  擂鉢の胡麻よく匂いひ梅雨明ける

     登美子
  七夕や輪に輪をつなぐ紙飾り
  苔の花並び地蔵の胸板に

     ミヨ
  行き交へる緋目高の目の光り合ふ
  薄暑かな枕のハーブ詰め替へて

     信子
  波畳む湖の浜風九輪草

     鴻
  蝶や星乱れ飛び交ふ揚げ花火

     聖子
  七夕や短冊を吊る赤き糸

     利孟
  掃苔の火付きよろしき古塔婆
  開眼の筆の空書きほととぎす
  潮の香の満ち来る運河梅雨明ける