4月のもう一言

穀雨の棚田耕運機胴震ひ  
面白いけど、有季定型という枠から大きくはずれている

花曇り微酔ひ歩く会社員  
会社員と受けちまったのがいけません、どんな風な微酔いなのか、歩き方なのかあたりに着眼を

説明を聞かずに迷ひ四月馬鹿  
頑固爺説明聞かずでは、俳句にもならない

生真面目な人をかつげぬ四月馬鹿  
生真面目で、事実だけの俳句は無理がある

捜しゐる眼鏡頭に万愚節  
これは駄目

花万朶古木を囲む車椅子  
そういう情景はあったのでしょうが、それでどうだったんでしょうか

カルテには美人と書かれ四月馬鹿  
それはそれは! チト怪しげなカルテながら

緋桃咲く庭に野点の緋毛氈  
ちょっと緋を重ねたのはうるさいかも

穀雨かな暦に農事目白押し  
農事暦の目白押しでは本屋に暦が沢山並んでいる

菜の花の香りの続く夜道かな  
芳香×、香りと言えばすでに匂いを感じているから「かいで」は不要、夜道は歩くに決まっているので「行く」など言わない

春色をほどよく配し手巻き寿し  
房総の細工太巻き寿しはみごとです

牡丹の芽青き宝珠のごと育つ  
牡丹の蕾を玉なす牡丹というからね

眼が語るパントマイムや四月馬鹿  
眼が命では?

朧月昇るや一人酔ふほどに  
酔うほどに中空登るでは月が酔っ払っている

霾やかつて谷中村の殉難碑  
渡良瀬遊水地、