11月のもう一言

比呂
団地てふ家の塊鵙高音
新しい建売団地なんて山の開発だからね
隠し田の潰えにまかせはだれ霜
狐火や日記にいつも小さき嘘
いつもでは日記っぽくもなければ、指摘でもないね
鈴の緒の疲れて細し神の旅
独りごちせるさがし物お茶の花
永子
電車待つホームに北風の通り道
浦々の日向に並ぶ海苔障子
ちょっとそこまではないと思うけど
立ち話茶の花匂ふ垣根越し
束の間を狭庭に光る霜の花
改札を抜けて冬帽風の中
聖子
雨吸ひて黒きわら屋根お茶の花
藁屋根って、住居だとすると貧乏屋だし、長持ちしないんだ
かろやかに水車めぐれるお茶の花
水車の脇にお茶の花がというならこれで
単線の長き停車やお茶の花
分かるけどね、だからがないのね
霜夜経て野菜の甘み深みます
そう言いますけど、だからだよ
散紅葉どつぷりと浸かる滝見の湯
中八が、この場合湯に浸かる雰囲気を出していると思うのだが
ともこ
点々とひかる茶の花日和かな
霜の朝鼻先つんと尖りけり
尻切れの声を継ぎ足し残る虫
残る虫が必死に声を振り絞ってるね
咲分けの紅のひと色返り花
立冬や赤き紐結ふ木を間引く
分かるけど、赤い紐である必要もないし、その事実だけではどうしたものか
敬子
実石榴の一つ置かれし六地蔵
六地蔵に一つって、事実でも様にならないでしょう
数え歌園舎を囲む花茶垣
樹齢へし大樹の洞ら草の絮
撫で仏目鼻平らに冬に入る
山鳩の庭に来ている霜日和
芳子
早暁に土揺り起こす霜の声
霜柱ではないからね
父と子にどんぐり独楽の丸き影
どんぐりってこんなに大きいものかね
コピー機の吐き出す紙や暮近し
辻裏の闇に一灯秋明菊
茶の花や身の丈越ゆる長き弓
昭雄
搾乳のホース大揺れ霜朝
シモアシタは変でしょ、海上給油ではないのだから大揺れも?
書を閉ぢて庭下駄履きぬお茶の花
強霜の予報子牛に寝藁足す
理屈っぽいです
茶の花や埴輪哭く口唄ふ口
いくらでも埴輪の口はあるからね
カーテンを開けておく鶲来るころは
一構
暁闇や鹿の骸骨霜に浮く
そうですか、シュールだけどちょっと
青空や脚立の上の林檎狩り
類句あるでしょうね
初霜や熊よけ鈴は闇に鳴る
どんな闇か、普通夜は歩かんからね
初霜やさつと着替へて朝稽古
遠謀の霜の湿原小用せり
困ったときの立ちションは許しません
山茶花や葉隠すほどに咲ける花
枯草の畑耕すトラクター
枯草の畑ってのがおかしいでしょう
飛び石を突き上げおりし霜柱
霜柱がねー
畦焼きや火を踏む子らの声高し
茶の花や似たる姿の卵焼き
卵焼き?スクランブルドエッグなのか?
幸子
風呂吹きや嫁したる子来て和む夜
個人的なんだな
霜柱菜を一握り抜きに行く
行ったり来たりはいらないでしょう
茶の花や裏参道の静もれる
菊咲くや陽当る方を選り歩く
神さびて烏帽子の似合ふ菊人形
登美子
霜の庭こきざみに使ふ竹箒
霜月や胸をはだけた磨崖佛
大きな岸壁に線刻の磨崖佛、こんなだな
届きたるミカンをインコと毒見する
美代
輪塔や梵字の掠れ鰯雲
茶咲いて花のあたりの夕かげり
チャーサイテですか?
雲も無し目印はるか鳥渡る
観念的だけどね
霜柱瀬音にほろと解くるかな
柊のかほり余りし離れ庵
シクラメンのかほりって、間違いと覚えてくれ
色鳥や山門低く千社札
低いのが発見なのか、どうも分からん
良人
赤松の野に入る径や霜柱
茶が咲いて日当り和ごむ峡の里
霜畳砂丘のごとく光居り
金色の蕊に名残りの茶花散る
初霜や月山の尾根なだらかに
利孟
交番の赤き灯十月桜かな
診察券入れて順取り霜の朝
七五三祖父より通ふ写真館
立冬の厨に焦げのよく香る
煮物が焦げるんではない、ご飯のおこげだよ
伯爵邸趾の洋館お茶の花