1月のもう一言

昭雄
寒椿昭和のままの村役場
まま、といっても20年ではインパクト無いね
火色よむ窯の向ふの寒椿
松の内造り酒屋の水の音
弓始め風筋をよむ鋭き眼
風を読むのに鋭い眼をしたら、なにほどの感慨もない
天領の春遠からじ鳶の笛
天領の鳶の笛のフレーズは良いよ
一構
焼き鳥の串を数へる松の内
鏡餅開き懸案議決せり
ちょうど新テロ特措法があって、時事句になってしまったのでどうもいけません
書初の用紙はみ出す一年生
一年生は明らかに不要
縄跳びや孫と競へる松の内
日記に書くことで、ここに孫の可愛さなりを感じるのは単に「老人」という立場のみでしょう
実千両鳥の運びて墓に生ふ
過去を推し量っただけで、眼前が読まれていない、墓の千両がどうなんだろう
鬼師範老ひてますます寒稽古
老ゆ、悔ゆ、報ゆこの3つだけがや行で活用する
臘梅や今年も唯一庭飾る
そうなんだ、どう飾っているかを言って欲しい、今年もなど要らないんだ
稽古場を一目覗きて松の内
稽古しなかったの?では、何が見えましたか?
庭園のヒロインの座や寒椿
冬枯れの野辺を照らす夕日かな
良人
葉隠れてひそやかに咲く寒椿
隠れたら秘やかではないのかな?
北天に星座澄み居り松の内
街中の辻に一本寒椿
随分都合がよい景です
朝焼けの富士遠見きく松の内
575であればよいのではなく、その制限の中で自然な日本語を探すことが大切
葉に籠る蕾潤めり寒椿
籠もる、潤むなど情緒的だが、寒椿ってのは蕾ではないでしょう
敬子
座禅堂の枢をかたく寒雀
とぼそ」ね
長火鉢先代からの蔵座敷
二代しか続いていないのでは旧家とはならない
寒椿老舗の宿の釣船に
釣り花入れのことね、老舗とかあっても景が見えて来ずらいかも
松の内厄除け大師人の波
当たり前でしょ
賀状うく少子化の子に鼠算
少子化と鼠算と悪い冗談にしか読めない
憲巳
初市や高崎達磨無表情
無表情と目鼻が無いのは違う
餃子屋を満席にして新成人
餃子ってのは祝の食べ物ですからね
同期会最終となり大吹雪
最終となり??
初雪や老け人だらけ同期会
老け人っていうか?
朝風呂の多き子供ら松の内
充分に育った一人前の子供、そう読むのは仲々難しいね
幸子
断酒せる胃の腑繕ふなずな粥
口々に出す頼み言初日の出
蜜入りのりんご風呂あり松の内
温泉のりんご風呂のようだが、風呂ありでは単なる報告でもったいない
白きもの耐へるごと咲き寒椿
白きものが何か?花なの雪なの、寒椿という季語が耐えるってことを予定している
悴みて夫と柏手息合はず
登美子
列につき名水を受く松の内
若水の感じがある、切れを作りたい
松の内朝忙わしなき厨かな
みくじ付く紅白の飴松の内
付くとあると、松の内の特別サービスみたいで、しかも、おみくじより、飴が中心みたい
寒椿シャベルの土の匂ひけり
松の内人声とぎれ昼淋し
ともこ
注連飾り擦りて開く自動ドア
開くたびに注連飾りが擦れるというのね
木を突く見馴れぬ小鳥初箒
寒椿ひかり差し込む手水鉢
すなおに景が見えます
なんとなく過ぎゆく一日松の内
松の内という七日間で、どんなもんか
書初やボールペン借り走り書き
書き初めとは言わないでしょう
永子
寒椿挿してはなやぐ厨窓
はなやぐは余分だ
国訛りつられて笑ふ松七日
隙間風のれん押し上ぐガード下
酢牡蛎食ぶ帰る故里まだ有りて
酢牡蛎と故郷ね、今時生ガキだと分かるんだが、どうなんだろ
起居する美しき白足袋弓始め
タチヰスルハシキが白足袋を修飾しても面白くない
信子
坂下る先は下町松の内
下に行ったら下町って狙いがあるみたいでしょ
白息を吐いて待つ列停留所
初雪といふほどもなく消えにけり
遠山の澄みし朝や冬椿
三四日続く冬日を誉め合へり
冬日というだけで好天とはならないでしょうが
比呂
頑丈に生えて秩父の霜柱
ふる里の野菜ごろごろ雑煮かな
ごろごろって、カレーでもあるまいし
襟巻の狐流眄古りにけり
流眄は良い、だけど、下句が芸がない
ぶち割れ茶碗の光る金筋白椿
ぶち割れ茶碗は繕わない、漆で継いで、金で蒔絵するのを金繕いといいます
袖畳またそでだたみ松の内
美代
鰐口の乾ぶる音や寒椿
涸れ瀧や風に細りし水音かな
や、かなは駄目といくら言ってもやるのはやるんだ
注連飾り千年杉の天深む
箱書きの器出し入れ松の内
すぐに仕舞えないのではと思うし、大事にの一番はこれでしょう
同胞のちぎり分けし日御供の餅
お供え餅を分けて食べる、過去の話なのかな??
芳子
湯気立ちて厨にぎはふ松の内
湯気立って居るということ自体賑わいなんだね
聞かぬ手をなだめつ使ひ春支度
龍太逝き千空召され去年今年
そうなんだ、だけど、個人の感慨を共有するかは別なんだ
告げられぬままのひとこと寒椿
思わせぶりやね
雪吊や繩張り詰めの逆さ松
どういうことか分からない
利孟
松の内のたりとゆらぎ田の煙
嫁が君手相判じて開く扉
日の色を貯めて薄紅寒椿
寒椿学校線の通ふ島
郵便船、それもありだね、あんこ椿みたくなるけど
神の索取るに行列初詣