5月のもう一言

ともこ
掌の中にかをりの嵩の山椒の芽
かをりの嵩やと切ると、山椒の芽につながらない
間取り図に書き足すテラス風薫る
薫る風と下5をするほどの意味は無いでしょう
初鰹台車で客の河岸食堂
台車横付けっていうと、魚を運んできたって感じだ
初夏の靄に包まる山の朝
夏の朝とかいう小学校唱歌そのものだな
立浪草の風にそよぐ波頭
信子
お結びの丸と三角子供の日
具で形を変えるか、なるほど
ほのぐれの沖に釣舟首家の浜
浜、沖はうるさいけど
海遠き町の夕市初鰹
シャリシャリと初夏のフルーツサラダかな
シャリシャリ食むは語感も悪いし、うまそうではない
貸農園十坪十坪に豆の花
それぞれがやっても、大して変わらないことをやるって訳だ
一構
飴色に古りし竹垣夏きざす
垣根の手入れでもしていたのかな、良い管
初鰹妻の財布の固結び
そんなべら棒な値段のものではないし、ちょっとやりすぎでしょう
更衣ふくらみ寄せてベレー帽
ちょいと斜めにはいただけない
岩の間を折れ流る水夏きざす
随分ややこしい設定をしたもんだ
ヤバイとはかつては隠語黴にほふ
あんまり詩的で無い言葉を使ってもね
昭雄
野武士めく肩を揺すりて桜守
答えは座5にというのが肝、野武士のような歩を運ぶではちっとも野武士が見えてこない
乳歯二本抜けたる笑顔夏はじめ
前歯二本欠ける笑顔ってのはあんまりぞっとしない絵になり勝ち、吾子の前歯の生え初むるも初夏の句でしたね
三陸は天領の海初鰹
つまんないけど
初夏や衿のおきなドレス来る
初夏の真昼の川を眺めけり
眺めけりってのは全く要らないフレーズ、そうすると初夏の真昼の川っていうだけ、ナッシング
美代子
咲き満ちて岩燃え立たすつつじかな
岩燃やしたるはどうもいただけない
梅雨近し空を鏡に研ぐ包丁
空が映っているほどに磨き上げたのかね、下5がきちんと納まると落ち着く
背になじむ古き木の椅子夏来る
初鰹の句としてはほとんど成立しないでしょう
棗句や飾り釦の塗り剥げて
飾り木釦ってなんのこっちゃと思いませんか
栃の花に誘はる虫の空念仏
聖子
一滴の雨に始まる落花かな
一降りの雨が誘ふ花吹雪
聖子の花の句ではこれがましか
故郷の味の筍荷の中に
筍って味は無いし、鮮度のものだから?
夕暮れとなりゆく花の白さかな
花びらの翼の如し昭和館
花びらが翼?、栃木県庁の昭和館といわれても・・、九段下の昭和館なら少し分かるけど
比呂
親方の下ろす高下駄初かつを
面白いしありそうな気にさせるね
老鶯の普き村に馬生るる
子馬は春だから、重なってるでしょうね
初夏や図鑑にはなき鳥の声
昔なら知らず、今は図鑑でも鳥の声が聞けたりするから、何を言っているのか良く分からない句という事になる
軒菖蒲珠をしつかと柳の爪
風の語を次々伝へ牡丹園
風の語で風が渡っていくさまをいいたいのだろうがわらない
良人
初なつや僧侶の衿の涼やかに
涼やかっていけないでしょう
店先の幟に大書初鰹
旗に二文字というより良かろう、幟の方がちょっと景気が良いかも
街路樹の影の短き首夏の午
短き影はちょっと季節が違うかもだが
銚子より届く宅配初鰹
鰹が見えてこないし、佐川のお兄ちゃんも見えてこない
引き抜ける竿の撓わに鰹釣
立ち並ぶ長竿が撓っても鰹釣とは分かるメエ
敬子
洋館に手斧の柱夏はじめ
手斧の家洋館になるではなんのことやら
風炉手前点で貌描く蕪村の絵
初産に朝餉の煮物初鰹
栄養をつけようって訳だろうね
母の日や母のピアノを今も弾く
「今も」弾くが決定的にいけない
聖五月ドレスが似合ふ隣りの娘
聖五月・トナリノコ・ドレスどうもつりあいの取れていないこと甚だしい
登美子
からまつの芽吹き盛んや富士五合
祝ひごと決まり田植を急ぎけり
田植えを急ぐのは時期だから見える、しかし祝い事はそれでは分からない、要するに当事者の事情でしかない内々の話
上向きの栃の花咲き雨になり
栃の花がてんでの方向に咲く中に上向きもあるなら成田佃が
母の日の花かご分けて水与ふ
鉢の根元を分けて如雨露を差し込んで水をやったというのね、分からないでしょう
母の日や豆大福の鉢合せ
ちょっとプレゼントには安直かな
居酒屋の弾む会話や初鰹
居酒屋やで切ってもまた居酒屋のことです
カラフルな初夏の大地はキャンバスか
キャンパスは校庭、シバザクラのさまだというがそれならそう詠もう
初夏や解散風が吹き荒れる
今年はそうだけど、初夏になると政情不安定になるってわけではないですね
アスファルト割りて青葉の命かな
ど根性大根とか良く報道されるが、特異なだけでは詩としての感動とはならない
初夏や水車で挽きし粉薫る
風薫り、粉香ってのはリフレインにはならないし、水車で挽いた麺ってすぐには理解できない