10月のもう一言

ともこ
錆色に澱む釉薬葉鶏頭
窯元ってこんな感じだね、釉薬なんてそこら中のバケツにあるし
秋澄むやローズヒップは紅色に
ローズヒップっていうと、庭にあるより、ハープとして壜に入っている感じだが
初紅葉なぞへに上る土塁跡
今年米きもち小粒と言ひ添へて
なんか言い過ぎているようで
山の灯の闇に明滅身に入みる
聖子
天高しバターの走るフライパン
台所で空が感じられるかは問題あるが、朝のさわやかな光景が見えるな
袖捲る上司の小言そぞろ寒
ちょっとおかしくしすぎでしょう
秋深しベンチに髪を梳く女
これって、乞食女か狂女って漢字だな
折り折りの暮し大事に零余子飯
大事にではいかんでしょ
葉鶏頭日に一便の路線バス
月並み
信子
秋天に整列屋上駐車場
身に入むや何度逆さに砂時計
同じことなんだけど
青空を一日貸切運動会
継ぎはぎの土偶身に沁む口開く
子育ての遠い記憶に葉鶏頭
比呂
権禰宜も禰宜も力士や泣き相撲
力士は赤ちゃんでしょう
身に入むや錢もて貰ふ彼岸の名
よく分かるんだ、戒名代は大変だ
遠畑に立つ細煙鳥帰る
秋冷や御手蹼もつ仏
オンテミズカキモツホトケ」聞いて分かるかな
かまつかの疾く色づかな禁漁区
なにが言いたいか?
昭雄
身に入むや生木に残る五寸釘
葉鶏頭一会の縁の袖を擦る
誰と誰が?、袖擦り合うと言えばそれ以上は要らないし
葉鶏頭画布をはみ出す炎のゆらぎ
身に入むや主治医の黙して首傾げ
いやだね、こういう医者
葉鶏頭灯ともしごろの真暗がり
一構
苔の岩こすり身に入む船下り
身に入むや浅草仲見世雨暗し
葉鶏頭の花壇過ぎれば美術館
ゆらぎ見る線の紅葉の裏磐梯
吊り橋から見ているということかな?、千の紅葉?千本楓というのがあるか?
草原に身に入む音か靄かすむ
敬子
木戸くぐり紅葉重ねの峡の宿
紅葉重ね?
休診の医師は作務衣の甘藷掘り
土生先生はこういうのを、なんで医師だと分かるんや?と嫌ったな
身に入むや老々介護の試歩はじめ
試歩とはじめは繋がらないでしょう
邂逅の友に紅濃き葉鶏頭
葉鶏頭をプレゼントするか?
素十忌や秘湯に出会ふ若き医師
秘湯の混浴で身の上話が始まったと?
燃える赤元気もらいて葉鶏頭
身に入みて酒も恋しや人の肌
人の肌に触れていると酒も恋しくなる、なにを言ってるのかね?
身に入むや老い行く年齢を数えたる
葉鶏頭眩しきほどに咲き誇る
朝晩や身に入む風に季を知る
季を知ることで俳句が出てくるんだ
登美子
婚の家まわりそば咲く茎の紅
蕎麦の茎が赤いことが言いたいの、蕎麦が咲いていることが言いたいの?
踊り子の裾のひろがり鶏頭花
鎌倉の美男大仏野菊晴れ
膝抱いてあかず眺める葉鶏頭
そう、そこで葉鶏頭の何を見つけるかが俳句です
身に入むや銀幕の人面疲れ
この美人女優でも、老いが目立つ、いわんや・・・
ミヨ
鳩の来て片羽さぼせり庭の秋
さぼすね、どうしてこう難しく言うのかな
雨戸透く灯にかたよりぬ鉦叩き
噴霧器の目づまり透くや葉鶏頭
すだち熟れ目立つ枝より鋏入れ
身にしむや銅山に錆びつく鶴の嘴
確かにツルノハシともいうらしいけど、そういうかね?
良人
舟に吹く風身に入む最上川
菜園の夕暮彩る葉鶏頭
銭湯の帰路に身に入む北斗星
嵐去り抜けたみ空に後の月
嵐って台風でしょう、去りは嵐、抜けたは空ってのが難しい、台風過で上中の句は言えてしまう
立ち止まる園児の目線に葉鶏頭
見るというだけでは俳句にならない、メセンてのが厭な言葉だね
憲巳
渋柿のたわたわに成り袋小路
相応の小さき実食む庭たたき
実は食わぬだろう
身に沁むや終着点の無人駅
終着点というのはなにかのプロセスの終わりだが
枡の目の身に入む屋台一人酒
演歌ならこれで常套だが、身に入むはもっと気温の低さを言うんだ
政権は変われど同じ葉鶏頭
そう思うけど、情緒はないわね、川柳に分類
葉は落ちて実のみたわわ枝垂れ柿
どこに焦点を合わせるかをはっきりさせましょう
園児らのはしゃぎ声ありりんご園
台風の来ぬ間に早き農作業
そうなんだけど、事実が俳句になるというのではないんだ
かまつかや色鮮やかに人を呼ぶ
台風や台湾の旅迎えおり
台風が台湾に来たのか、別に台湾に旅行してたのか?
利孟
うねり串打たれ臈たけ子持鮎
身に入むや唐人寺の石の床
「変身」と叫び振る腕葉鶏頭
ちちろ蒸し経のはじめに諸仏の名
引き探りまた引き寄せて鯊を釣る