第161回 平成22年5月30日
栃若葉名物餃子の幟旗
武者幟巴御前の紅の頬
女子高校行きの学バス走り梅雨
花嫁の父てふ仕事白上布
検札の車掌の英語聖五月
比呂
○泥食みて泥に染まらず白蓮
△若楓嬰の反身の反抗期
△麦秋や犬にもらひし大欠伸
△吊革の白き二の腕風薫る
・若武者を選りてはたはた初幟
良人
○夕映えに甲かがやく武者幟
△街路樹の木陰明るき聖五月
・山里のつましき人家の大幟
生地白き武者絵引き立つ初幟
山里に居並ぶ藁家鯉幟
△矢車の鳴りてみどりの風の谷戸
・かくれ里みどりの風に飾る武具
・校庭の上向く蛇口五月来る
・五月闇煤けし梁に走る罅
・ネクタイの水玉模様五月風
ミヨ
△夏落葉雨情旧居に卓一つ
・鳶の舞ふ空なだれ込む谷若葉
・大屋根になびく幟や遠筑波
・筆塚や苞の短き白あやめ
・本堂の扉を広く開け五月来ぬ
一構
△チェロの音のつぶやくごとく夏は来ぬ
・告げられし余命幾許鯉幟
・谷川の波も声立て夏に入る
筑波嶺や五月の雨を吹きおろす
祝酒夜風川風五月かな
△空写す水田に泳ぎ鯉幟
・五月雨や路上に濡れる落ちた梅
携帯に神輿を写す五月祭
いざ行かん心の中に幟立て
塩原の緑一面五月晴れ
芳子
△ヘルパーの新の名札や聖五月
所在なく蔵に置かれし幟かな
初夏やもんぺスタイル颯爽と
自転車の練習三たび若葉風
萬緑や湧き立つ声に大逆転
登美子
・沖縄や鰹幟の立つ海辺
・鯉幟川面に五色流し込む
・五月晴役者幟のきららかな
五月闇諍いの瞳に紛れ込む
気まぐれに翡翠の来る駐車場
・聖五月一本独鈷の博多帯
・山小屋の夜明けの早し山法師
母の日の花籠に添へ一首かな
鉄線の塀にのびきて風やさし
手漕ぎ舟触るるばかりに鯉幟
ともこ
・木洩れ日の揺れる皐月の窓辺かな
・味噌餡の葉裏葉表柏餅
緑陰や博物館へ人の列
小でまりの風に弾ませ白き鞠
脂の吹く松の若木や幟杭
信子
・ふくやかに葉裏葉表燕子花
・私語ひたと止みて朝行花は葉に
遠望の蒼き筑波嶺武者幟
夏来ると弾む会話の尻上がり
腕白の鎮まり仰ぐ武者幟