6月のもう一言

ミヨ
嵯峨野路やときに老鶯ときに鐘
ちょうど、扉の全国大会の京都はこんなでしたね
百日紅軋む扉押して暮るる寺
雰囲気だけで判りづらい句です
雨に増す川音夜つぴて明けやすし
夜っぴてと、明易しは重なるでしょう
鱧売り切れどすと書かれて路地格子
きっとあったんだろうが、ホントかね?
八ツ橋のにぎはふ老舗沙羅の花
はんなりって、落ち着いた様ではないのね、華なりなんです、八ツ橋は商品名ですから
昭雄
短夜の貨車組む駅の汽笛かな
蔵壁に映ゆるくれなひ百日紅
蔵の白壁に百日紅の赤がということね
何故飛蝗も少し遠くまで飛ばぬ
新趣向、あんまり好きではないね
高僧の説法ありと来しが雹
鉄鉢の中へも霰のもじりか?
網揺らす川風匂ふ短き夜
信子
園児みな午睡の時間百日紅
落ち着く取り合わせだね
深梅雨の橋千仞の谷またぐ
愛用の靴の片減り走り梅雨
すっかり濡れちゃった、おやこんなに踵が減ってる
明け易し森に友好丹頂舎
宇都宮限定のお話です
収穫の野菜の筵百日紅
川島
父の日の父の付き添ふすべり台
大雨に花うちこぼれ茄子の畝
千に一つの無駄もないという茄子の花が散っているのね
短夜の雨音に飽き目覚めけり
緑陰や青年医師のとお会釈
実際かもしれないが、字面だと、青年医師と看護婦の愁嘆場だったりして
引越しに取り残されし百日紅
比呂
ナースコールはショパンのワルツ明易し
小振りなる噴水のの字書きつづけ
雲間より出て曖昧に梅雨の月
蛍袋の毛ばだち母の文短か
百日紅言葉躓く病ひ得て
登美子
雨止んで有りの働く庭となり
短夜やラジオに流る古き歌
短夜には、ラジオは古い歌を放送することになっているという意味では?
地に伸びる四尺あまりの蛇の衣
百日の風にふるへる百日紅
あぢさゐの毬めでながら濡らす靴
めでながら、は×
良人
短夜や女性車掌の始発ベル
笑みのは余分でしょう
消防の操法訓練百日紅
百日紅野辺の地蔵に傘かけて
点々と門前町に百日紅
点々とが難だ
坂道の家々毎に百日紅
そういう光景はあるでしょうね
ともこ
山躑躅木々を行き交ふ青き風
露芝の柄かた隅に夏蒲団
なるほど
勝利記事一面飾り明易し(カメルーン戦勝利)
時事物はなかなかに残りませんね
誘引を外れさ迷ふ梅雨の薔薇
誘引ってのが、結構テクニカルタームでわかりづらいのでは
新宅は洋風普請百日紅
敷地内の息子の家、新宅って使いますね
尾下
露ひとつ遊ばせ蓮の浮葉かな
白濁の露天の湯口百日紅
思ひ出の花になりたる百日紅
思い出の花って、自分にしか判らないことは言っても伝わらない
短夜や眠れぬままに書く手紙
手紙というだけでは平凡、インパクトはない
絵手紙に収まりてくる百日紅
絵手紙の絵が季語たり得るかというのはいつも問題
敬子
ひたすらに筆とる耳順明易し
六十の手習い、というのがあるか、私は一生懸命ですよというだけの自己陶酔
きざはしは百段あまり百日紅
百を掛けたってことですか
日記には世情を少し麦の秋
そうかい
森深くテナーの響き夏燕
燕は森の中を飛び回れないんです、木が危なくて
金糸梅ふれて幼児の片えくぼ
なんじゃらほい
短夜の欠伸出たりし昼寝かな
短夜と、睡眠不足、月並みな取り合わせになる
滑らかな人の肌より百日紅
短夜の妻の鼾で昼欠伸
奥さんのマイナスを句にしても家庭の平和に貢献しません
太陽の光りに花の百日紅
短夜睡魔が襲う机かな
利孟
父の日のベランダといふ喫煙所
無限大に廻れと茅の輪祓へかな
短夜やジャパンブルーにテレビ塔
東京タワーのワールドカップバージョンのライトアップ
浪人生の煙草の虚勢夏期講座
百日紅泥棒猫の背伸びして