8月のもう一言

比呂
文月や紙の栓する残り酒
玉の汗経一巻を声高に
供花の水たちまち濁す敗戦忌
海鳴りを手枕で聞く夏座敷
いとけなき科も身振りの子の踊
芳子
病葉や夢二の女は風と泣く
文月や心の襞を閉ぢしまま
廃校に踊り太鼓の賑へり
添ふ母の小さき背や合歓の花
添ふ?
在りし日の友の笑顔や立葵
信子
種茄子と選られてよりの太りやう
親と子の御輿対面神の前
迂回路に臨時バス停夏祭
文月の地下のどこまで採石場
誘はれて誘ひて継なぐ踊りの輪
登美子
ふるさとへ帰えれる線路石焼ける
>故郷へつながる、灼ける
夏休み箸を使える洋食屋
使えるでは、持ち込みの箸でしょう
朝一番暑さでくもるメガネ拭く
立秋や今朝の風より肌に澄み
句会終え女ばかりのかき氷
句会を素材には使わないこと
良人
進み行く流し踊りの先暗し
踊り果て虫の音戻る河川敷
踊り、虫の重なり
文月や父からの文さがしをり
文月の男体山に淡き雲
文月の北斗の空を仰ぎけり
一構
踊り果て校庭雨に変りけり
文月や罅みつしりと井戸茶碗
雲の峰バンジージャンプ八重歯の娘
柔らかな草刈る朝田の匂ふ
雨の中りんりと立ちし蓮の花
りんり?オノマトペやら決まり文句での表現は×
敬子
ほどほどに生きたし余生茗荷の子
弁慶の飛び六方や白扇子
絵手紙のまとひてみたき白絣
旅の夜の踊り櫓がいま盛ん
文月や異国の旅をすすめられ
尾下
文月や夫からのみのメールかな
盆踊り繰り出し行くも若さかな
供花水に氷ひとかけ入れてをり
で、季語はどうなるか、まさか氷でもあるまい
文月の名無しの暑中見舞あり
文月、暑中見舞いは重なるでしょう
校庭に弾けてソーラン踊りかな
ともこ
朝顔や今日は新聞休刊日
博多帯ぽぽんと鳴らし踊りの輪
見開きに水の流れや秋はじめ
文月や風に触れたき棚の蔦
明日へと繋ぐ蕾や今朝の秋
明日、今朝の秋?
ミヨ
祈るごと磨く燭台夜の秋
麻被ふ神とて祭る天狗かな
きざはしや紅き土用芽ひとところ
立て掛けし瓦燈離れぬ葉月かな
かかる夜の踊り果てたり杭の穴
昭雄
文月や子規の切手で来る佳句
打ち水のひと美しき会釈かな
文月や父の名残る端溪硯
硯師だったのか?なんとも理解が難しい
国訛り飛び交ふ村の踊の輪
村の盆踊りにドコの国訛りだろうか、変だ、もとより訛が村には想定される
踊り来し余韻を鎮む終ひ風呂