4月のもう一言

信子
肩掛けの鞄の小鈴伊勢詣
上手いね、着想の勝利です
思ひ立つ時が吉日伊勢参
園丁の誰もが寡黙紫木蓮
もくれんや声の溢るる幼稚園
春の雪震災の船陸に残し
昭雄
お伊勢講日掛け預金の箱古りぬ
いいね、こんなもんですよ伊勢講ってのは
草刈機畔に寝かせて眼鏡拭く
武家門の乳鋲の錆や紫木蓮
伊勢参り癒える兆しの妻に添ひ
紫木蓮長女の家の丘の上
於した
何時止むか知れぬ余震や紫木蓮
紫木蓮記念樹らしき札立ちて
札が立ってりゃ読むだろう
紫木蓮思ひふくらみ咲く日なり
かぐわしき風に誘われ伊勢参り
風薫るという季語があるからね
白蓮のあやなす揺れのおさまらず
登美子
思ひ立ち女三代伊勢参り
思い立ちなどと言ってみても・・
紫木蓮のぞく二階の三面鏡
よその家の様子では、覗きになります
紫木蓮風穏やかな日の続く
羽広ろげ空を飛ばんと紫木蓮
それもありか
おしゃべりのはたとやみけり春惜しむ
比呂
微分積分生活に遠し豆の花
尼寺跡の布目瓦や泥蛙
伊勢参五十鈴川にも銭投げて
病みぬくとみせて急逝残る雁
病み抜くが清子らしいかも、合掌
紫木蓮医に脈を盗まるる
医者が脈を診ながら、最後のそれを盗んで止めたかのということらしいが、それは無理だろう
美代
鍬錆びし未だ適はぬ伊勢参り
日光責め果てて青ざむ頂戴人
日光責め白描の龍口を開け
木の芽どき腰痛避けの火鍼かな
まあ、只事ではある
迯げしなの声飲む津波もどり寒
何が言いたいかは分かるが、詠めていない
良人
やわらかき白き日差しや紫木蓮
身にまとふ晴れ着色めく伊勢参り
咲き継ぎて花一面の紫木蓮
木蓮、辛夷は咲き継がない一斉にでしょう
泰然と疾風に向かう紫木蓮
清清し木洩れ日を背に伊勢参
郁子
咲き満ちて桜の吐息重かりき
紫木蓮揺れて灯ともる里の村
風を踏む登る坂道花吹雪
水色もあたたかき色犬ふぐり
遠き日の五十鈴川かはらず伊勢参
昔と変わらんていうても、イスズはむりでしょう
聖子
みちのくの壊れし大地紫木蓮
紫木蓮余震なかなか治まらず
あっさりしていて良いよ
己が身と重なる演歌紫木蓮
そこまで踏み込んで
紫木蓮残り香淡きエレベーター
残り香は夏でしょうね
頬紅を少し多めに伊勢参り
おかめ?
恵子
里の茶屋箸を止めさす初音かな
花堤道行く人に重ね散る
伊勢参り善女となりて前に立つ
何の前に立つのか全然分からん
我有りて空を仰いで老桜
紫木蓮重ね塗りたる自画像若し
五七五をしっかりやってから破調へと
木蓮や紫色と白さかな
境内を行つたり来たりの伊勢参り
あれこれの摂社、末社をめぐりながらが本来の姿
白色やコントラストの紫木蓮
道すがら目奪われたり紫木蓮
どうして目を奪われたのかを詠むのが俳句
大震災お百度を踏む伊勢参
お伊勢さんとお百度ってちょっと違う感じです
芳子
玻璃越しに見つむる芽吹きや子規遺影
それぞれの衿を正して伊勢参
板塀の漆黒あをき紫木蓮
三椏や手作りのまりの鮮やかに
子規庵の透き通る玻璃すみれ草
敬子
交番の屋根よぎり来る初燕
休耕田は桟敷となりて里桜
暮れ方の風に咲き初む辛夷かな
白装束のわれもひとりぞ伊勢参り
ひとりではあんまり行かないものという感じで
紫木蓮ケアホームより数え唄
利孟
大笊の種芋の芽の出放題
寸莎落としこねる壁土梅は実に
試し飛ぶかにゆるゆると初燕
大釜に湯の沸く茶店伊勢参
赤福です
紫木蓮浮き雲ひとつ寄り来れば