5月のもう一言

郁子
源流はここが県境若葉風
本流も支流も秘境山椒魚
健康は靴音にあり風薫る
里村や一戸に一樹柿若葉
一戸に一樹って、調査隊ではないのだから
栃若葉風に海原行くごとし
敬子
薫風や美女の操るいるかショー
開眼の法要牡丹の白凝らす
凝らすが眼目かも知れませんが
街道の宿場名残りや花水木
岩陰に眼の光る山椒魚
樟若葉牧水に湯に娘と二人
娘と二人って何か牧水に絡むことがある?
登美子
山椒魚人を隔てゝ水の底
みどり児の手足のくびれ風薫る
野の薫風振り分け一両列車来る
山椒魚山雨沁みたる泥に生く
泥には寸でないでしょう
薫風やどの山肌も濃きみどり
昭雄
牛飼ひの妻が茶店を風薫る
牛飼いというと、すぐに伊藤左千夫なのだが違うようで
風薫る娘に初めての母子手帳
山椒魚智恵子の空を訝しむ
手庇の指呼の天心揚雲雀
言葉遊び
安達太良山の空に景雲山椒魚
山椒魚と遠すぎるでしょ
聖子
山椒魚飼ひて峠の婆が茶屋
田蛙の息つぎもせで鳴き通す
息継ぎなしにスラッと読めるのと響いてよろしい
風薫る家囲む田の水鏡
紫陽花や出先会議の長引きて
会議に飽きて外を見たら紫陽花がきれいで・・・
なかなかに抜けぬ訛や粽結ふ
訛が抜けないことと粽を巻くのに響くものがない
芳子
余震後や長湯と決めて菖蒲風呂
制服の真白き衿や風薫る
結構制服フェチ多そうですね
白南風や天を分けたるクレーン船
水脈の闇の深さや山椒魚
異国語のまじる会話や牡丹園
ちょっと珍しい、それは発見とは言えない
ともこ
戸袋の内の暗闇雀の子
針槐雲の切れ端の花散らす
瀬音かな平家の里の山椒魚
途中で「かな」で切るのはなかなかに難しいので
水源の名を持つ河川風薫る
銀鼠色の葉に揺れて白牡丹
巨大なり収り忘れたるブロッコリー
故障車をがんじ搦めの鉄線花
清流や山椒魚も散歩かな
ドクダミの花こぞり咲く裏通り
薫風に頬撫でられて昼寝かな
一構
風薫るネールアートで押すシャッター
ネールアートとは指や爪のことではないね
風薫る少したれ目の秋田犬
ジーパンの腿のすり切れ風薫る
勅使門開いて朝の風薫る
今朝もまた薄墨の天風薫る
薄墨をどう解釈するかちょっと難しいね
良人
雲捌けて青ずむ男体山風薫る
音数勘定して
風薫る展望台の椅子固し
体言止めの方がしっかりします
風薫る那須岳の頂輝けり
風薫る平家の里に鎧武者
山椒魚緊張ほぐす役持てり
自分だけの経験を読者と共有するのは難しい
恵子
Tシャツを装束に替え日光祭
替えるは「替へる」
華奢な背の揺れる三編み風薫る
華奢ってのが嬉しくないけど、人気あるね
山椒魚街を見下ろすビオトープ
五月雨やあまだれの音時刻む
山椒魚てんでに落つる岩雫
岩滴って、したたりという季語もあったりして
信子
桜散る産科・小児科閉ざすまま
山椒魚家寄り添ふて平家谷
添ふは終止形、連用形は「添ひ・て」、「添ふて」とはなりません、音便にしたければ「添うて」と表記します
春の蝶胸の高さに又ゆけり
薫風や遠き国見る竜馬像
高知桂浜、幕末の疾風怒濤、薫風のような清々しいものの取り合わせとは行きません
恐恐と反す箸先山椒魚
さて、蠑?の黒焼きは惚れ薬だそうですが、山椒魚はせいぜい強壮効果くらいらしい
比呂
薫風や芭蕉全句のなぞり書き
軽病みの薬山ほど罌粟坊主
鼻風邪にこんなに薬なんて、罌粟坊主の方が効くのかも・・
仮橋に並び新橋花あやめ
澄み透る深山湧水山椒魚
透は、「とう」と音読みするが、「とうる」とはならない、透けるでしょう
函領の山道暗し走り梅雨
於した
山椒魚現れて動かす水の面
貌を出すというのより、この方が落ち着くね
山椒魚峡の渓流棲家とす
あたりまえすぎるでしょ
両腕で漢かかえし山椒魚
リョウワンとフリガナしなければならない程の意味なし
薫風やついぞ身の上話など
幼子の水へ一歩の立夏かな
なんか、分かったようなわからんようなで
風薫り逆景の田水面も揺れ
スラッと詠めば良いのをどうしてこうややこしくするかね
鬱々を吹き飛ばしたり風薫る
風薫る日々に少なく望みたり
グロテスク山椒魚も好みかな
代とは山椒魚や腹黒し
美代
滝音や仮橋流れ昨夜の雨
薫風や擦る風鎮海の色
女滝の音読経めきて身を包む
あんまり、披講者を悩ますような読み上げを要求して作句してはいけません、一読句意明快というに反します
隠沼の主のはんざき顔を出す
篠の子や人馬にやさし旧街道
まあ、やさしいかどうかは別に人と馬、大八車くらいしかなかったことは確かだが
利孟
紫蘇を揉むどす黒きもの吐かせては
ラバウル守備隊開衿シャツの父
薫風や起居一畳の坐禅堂
水揺らぐほどに揺る影山椒魚
金を蒔くかに身震ひて麦の芒