6月のもう一言

良人
朝湯の湯湯音も透きて半夏生
湯を少し整理しましょう
火渡りの火の色見えず半夏生
面紐を締めて間を取る半夏生
間を取るはうるさいか
雨粒の白く糸引き半夏生
白靴の連れと街行く朝まだき
連れに連れ合いの意があってもどうしたものか
郁子
フランスパンぱりと焼けて遠郭公
ちょっとリズムが悪いかも
夕焼や太古の匂ひ残す湖
止むかとも見えてまた降る半夏生
半夏生はおかしいね
旅用として捨てきれぬ白い靴
麦秋や月に白銀日に黄金
夜に昼にとは欲張りです
昭雄
ガキ大将眩しき人に打つ草矢
拝む手で半夏の野辺へ竹トンボ
拝む手というと拝んでいる手でということになりましょう
新しき石鹸おろす菖蒲風呂
半夏生江戸へ五十里の湖凪る
五十里湖のことなのは分かるが
白靴やステッキあればタップ踏む
ちょっとリズムが悪いかもやりすぎか
比呂
落し文寄木細工の秘密箱
寄木細工の箱はよくあるかも
買ひ立ての白靴で行くシャガール展
篁に風の入り込む半夏雨
葉桜の騒き重次のゐる気配
重次の句になにがあるんだったか
セーラーの鍔無き帽子南風
当たり前すぎるか
ともこ
白靴や貸自転車で巡る町
白靴をスニーカーにかへロープウェイ
手を借りて結はふ竹垣半夏生
手を借りてが分からないが
十薬や傘を傾げる雨の路地
散りてなほ柊落葉の強さかな
そう、夏落葉ね
登美子
半夏生畳に座卓写経の間
畳に座卓は当たり前すぎ
節電の駅に降りたつ夏兆す
降りたつ、兆すはうるさい
水たまり飛び越えてゆく白い靴
これは子供のズックだね
自転車でいつもとおる子白い靴
半夏生群れてビー玉かくしをり
むずかしい
一構
飛魚の飛翔のひかり屋久島へ
景は見える
義兄逝くと夕餉に電話半夏かな
どうしたものか
紀元杉道は木道半夏かな
半夏生あすは屋久島靴手入れ
登山靴かな
雨霏々と道路を断ちて半夏かな
道路を断つが?
白靴に赤シャツまとひ闊歩する
白靴に赤シャツはそれなりに面白い
半夏生節電続き暗い日々
暗い日々がなにか詩になっていますか
白靴やいざ出陣と繁華街
身は軽くあらわな肌や半夏生
意味は分かりますが表現がどんなものか
半夏生半年過ぎた月日かな
半夏生は毎年その時期なのです
敬子
曲家の鍋釜伏せて半夏生
ベランダに乙女の夢の薔薇香り
西瓜売り震災募金箱を添え
事実かも知れませんが
母の日やオルガンを弾く母若し
白靴の軽やかマーチ響く街
軽やかまで続くのですね
聖子
半夏生日暮れはいつも風つれて
川の面に映るネオンの半夏生
ネオンの半夏生はおかしいでしょう
耳飾り長き本尊半夏生
まあ、これに近い状態だが、ちと違うでしょう
昼なほも燈りを灯す半夏生
昼休み寸暇のテニス白い靴
信子
郭公やばらの荷解く朝の花舗
踏切を過ぎる貨車の音半夏寒む
半夏生客待つ古都の人力車
白靴の男駆け込む朝の駅
舞台自在に手品師の白い靴
美代
紫陽花の咲きて縁の寺参り
老木の青梅まばら枯れもせで
枯れもせでがどんなものか
白靴の弟子甲斐甲斐し地鎮祭
白靴の弟子がみえてこない
よされ節あはれこの野路半夏生
なんか演歌だがどうも
松籟や老鶯の声しばし絶つ
和す方が良いかも
恵子
微睡めば遠くに聞こゆ夜半の雷
板塀や足首細き白い靴
板塀がどういうからみがあるのか
常滑の甕に石載せ半夏生
これでは絵が見えない
半夏生跳んで面打つ豆剣士
豆剣士って、孫と同じでそれ自体に感情移入がある
ジーンズにしぼりの鼻緒夏祭り
絞りの鼻緒の下駄だけでよかろう
震災禍亡き子の形見白い靴
これ自体になんか感動があるだろうか
天道虫鼻先留まる縁かな
人目惹く歩道花壇の棉の花
震災のニュースいつまで半夏生
時事俳句というのは難しいものです
根切り虫貴重な苗を食い倒し
貴重な苗がどういうものかわからない
利孟
白靴のはたいて払ふ土埃
半夏生秘仏を隠すお前立ち
蟻地獄猫よけの瓶並び立て
半夏雨ぐづりくはへて哺乳瓶
餃子食ふための行列沙羅の花