10月のもう一言

昭雄
穂芒の風しろがねの雲巌寺
雲巌寺奧処に秋の香炊かむ
那珂川の鮎塩焼にかぎるぜよ
ま、遊んでるだけの句だけど
桔梗咲き旧家の名残り野面垣
三句切れは解消しましょう
桔梗咲く簗白波に沈みけり
季がさなりだけど
於した
天高し餌を採る蜘蛛の真逆さま
なるほど、これはよいでしょう、女郎蜘蛛って感じがきれい
雲巌寺神域の実のたわわなり
寺に神域はないでしょ、神域の実ってのも分からん
身に入むや石垣に咲く返り花
季がさなり
崩れ簗背に撮る写真ひざまづき
迷ひつつ辿る軌跡や芭蕉の碑
無季
登美子
田仕舞いの煙身の丈越さず這ふ
身の丈に煙が這う、いいね
山茶花の一木寺領に華やげる
一本の山茶花の存在感てあるかな?
残り菊濃き色風に吹かれをり
崩れ簗乾きしままの身を晒す
秋深く木々の苔むす雲巌寺
ミヨ
名刹や魚板の窪の秋日かな
や、かなを重ねない大原則をはずしています
崩れ簗水の遊びし蛇籠かな
邯鄲やもれ日集めて息ながし
川音す荒鮎二匹皿に盛り
色鳥の声の高みや五輪塔
信子
鐘楼に音深眠る秋の寺
まあ臭いがね
雨催ひ寄せる波遣る崩れ簗
行く秋の風通しやる勅使門
紅葉寺声出して読む芭蕉句碑
仏殿を拝す石段実南天
聖子
川波のさざめく八溝崩れ簗
ちちろ虫止めば広々雲巌寺
雲巌寺幹に苔むし実南天
伝へ云うことを信じて紅葉寺
雲巌寺水迎へおり橋の秋
良人
吹く風に紅葉且散る寺の門
風に散るでは当たり前でそうかいです
大水の砂礫に埋まる崩れ簗
風立ちて秋草の色さまざまに
山門を覆ふ紅葉雲岩寺
里山の秋草高き寺を訪ふ
雲巌寺鐘楼苔を蓄えて
紅葉の流れに架かる朱塗り橋
崩れ簗秋洪水の爪あとぞ
吟行を終えて賞味の鮎料理
俳句を句材にしないこと
雲巌寺建物すべてに苔着けて
山茶花や芭蕉の里の片隅に
紅葉や禅刹まではまだ早し
満天星が鐘楼見あげ秋の里
見あげるという擬人化表現はどんなもんか、季がさなり
秋古刹鬱蒼を消す瀬音かな
いつも云う様に当たり前の日本語表現が基本
秋の日がおぼろにかすむ古刹かな
利孟
餌を狙ふ口にて焼かれ下り鮎
百千鳥木地剥き出しの格天井
打ち捨ての釘山門の秋深し
紅葉山穂先のちびし竹箒
おんこの実杉戸に刳らる鍵の穴