4月のもう一言

利孟
酒蔵を守るが家業桜守
箱追ひて乗る観覧車端午の日
五月鯉青や緑といふ真鯉
弁当を選るに惑ひて春ショール
鉄瓶の動かぬ鉉や花筏
登美子
天上指す右手たのもし花御堂
端午の日蔵の戸軽く引かれけり
来賓の長い祝辞を聞く桜
校門と桜そのまま陽の中に
花の夜舞子と登る昇降機
状況は良いな!と思う、だけどそれがそのまま俳句にはならない
聖子
夜桜を見んと口紅塗り足して
紅白の幕に人々花吹雪
産声の流るる朝の端午かな
満開というおそろしき花の数
岩間より川面へ垂るる桜かな
比呂
腹掛の金の太文字初節句
履き物の中の石ころ万愚節
出自無き仏なれども花の寺
風に嘶く八幡太郎の幟竿
そんじよそこらの桜にあらず滝桜
ミヨ
ゆく春や嫁して幾年いざり機
嫁して幾年はあんまり俳句じゃないね
鯉幟不乱の筆の大眼
黄水仙長けて俯く二子仏
花三分ただす守衛のエポレット
苔むして寝釈迦ゆたかに二重顎
一構
花実かな内緒話も声高に
高みより桜蘂降る朝餉かな
工場の直なる煙花実かな
光芒の光ひしめき山桜
夕桜老の一徹貫けり
信子
花の雨そば処の回す石の臼
小糠雨孝子桜のひた咲きて
孝子桜ってのがあるんですね
花冷えや息を静かに心電図
靄晴れてみ山耀ふ端午かな
月央に金星木星よいのはる
郁子
暁のパン屋の匂ふ初ざくら
中空に風少しありおぼろ月
すがすがとひそかに風の端午かな
すがすがと、ひそかはつながらないかも
五月五日わが青き空青き山
車椅子枝垂れ桜の影の中
於した
撮る人に撮られる人や桜散る
暮時のひと際淡き桜かな
風止みて居住い正す桜かな
花冷えや琴の奏者のドレスかな
ドレスがどうしたの?
威風堂々枝巡らせて老桜
良人
野路地蔵三間離れて桜守
高遠の空を閉ざして桜咲く
耕運機音まき散らす端午かな
水枯れの川の堤に桜満つ
杉並木杉に宿りて桜咲く
昭雄
沐浴の子の蹴る湯の香旧端午
旧端午はいかにも取ってつけた感じ
風船に縛られている子の手首
日が月が立ち寄る野辺や犬ふぐり
大物のけはひ湯を蹴るたんごかな
ひとひらはせめても墓へ散る桜
敬子
初節句女系の家の男の子
舫い舟とかれ偉人の桜狩
たくましく双子たのもし初節句
オカリナの響くホームや玉椿
老人ホームなの?、宗匠も十分老人ではあるがホームって駅とばかりおもうけど、
それぞれに生きて夜桜ワイン酌む
人はみな成長願う端午節
怠け者節句に働く端午かな
怠け者の節句働きとはいいますが
観桜や日和の風に花揺れる
桜散る定年すぎし人となり
行き掛けの駄賃となりし桜狩