6月のもう一言
| 郁子 |
| 追憶はつねにモノクロ街薄暑 |
| あんまり利孟好みではないですけど、こういう路線もありかな |
| カステラの薄紙はがす梅雨ぐもり |
| 薄紙みたいで、薄紙じゃないってのが微妙なんだ、カステラの紙ってのは |
| 麦秋の大地を鬼怒川の遊行せり |
| 遊行が眼目なんだなこの句は、場所は離れるが、遊行柳なんてのも栃木の人ならすぐ浮かんでくるだろうし |
| 崖雫して藍深き額の花 |
| 雫ってのが季語を感じるけど良いです |
| 夏羽織似合ふ男の丈高き |
| 似合うといっちゃいかんでしょ |
| 一構 |
| 苦瓜の蔓暴れるをはばからず |
| 薄暑光豆腐一丁買ひにけり |
| 木道に学童走る薄暑光 |
| 起き抜けにシャワーを浴びて薄暑かな |
| ここもまた池塘に咲くや水芭蕉 |
| ここもまた?地塘にばかりって感じが解せない |
| 昭雄 |
| 甲冑の瞳の無き睨み夕薄暑 |
| 気紛れに引きし大吉薄暑光 |
| 気紛れに引いたら大吉だったというのだろうが、ならこうは表現できないですね |
| 人力車薄暑の古都をひたに縫ひ |
| ひたに・・とはいわないのでは? |
| まさおなる空引きよせて犬ふぐり |
| なるほど、犬ふぐりの青を言いたかったのね、しかし引き寄せてはかえって藪蛇だったね |
| 夏羽織裏地に隠す男粋 |
| 夏羽織って薄物の単衣仕立てなんで羽裏は無いんです、男は裏に凝るっていいますけど袷の羽織、襦袢ですね |
| 信子 |
| 心柱浮かせ五重塔薄暑 |
| 一徹な背筋老爺のの夏羽織 |
| どっちかといえば、半纏のような感じだね |
| さくらんぼ女ばかりの旅時間 |
| 旅時間ってのが理解できなかった、きっとたのしかったんでしょうね、そういえば、うっふーん♪の黄色いさくらんぼて歌があった |
| 手料理に隠す一味夕薄暑 |
| なに隠してんのかわかんないけど、ってことはなんだか分かんないんです |
| 三二一ゼロ日食は今金環に |
| 金環にって気に入らない、金環食騒ぎの直後だから理解はできるんですが |
| 登美子 |
| 朝食はパンと牛乳薄暑かな |
| は」ではパンと牛乳しかない、の」にするとどうもほかにおかずがついてるってことになる、別に粗食、手抜きを詠う必要は無い |
| 夏羽織好きな帯柄透けて見え |
| 夏羽織風は気ままに吹き抜けて |
| 薄暑なり磨いた匙と銀の盆 |
| うーむ、こういうハイソな生活はよく分かんないけど |
| 祖母叔母の箪笥に残る夏羽織 |
| 箪笥に入ってるのは、袷も単衣も、ひょっとしたら綿入れまであるかも、つまり季語性が薄いのです |
| ミヨ |
| 大水車汲みあぐ夕焼どつと夜 |
| 情景分かる、だけど言ってないでしょ、どっと夜って無理がある |
| 手作りの杖のつつまし夏羽織 |
| 様子の悪いならこんなふうでしょ、つつましいはともかく駄目です |
| 布目当つ陶土平かに薄暑光 |
| 陶土ってのは加工前の原料のことだね、陶土に布目を押しながら平らにするとかきちんと言わないといかんでしょう |
| 巫女の振る鈴遍しや夏祓 |
| 遍しや? |
| 梅漬けの小屋ごと醸す日和かな |
| 梅漬けのための小屋があるらしきことは分かるが見えない |
| 良人 |
| 境木に見紛ふ五位の立姿 |
| 見紛うってみなし方がおかしいね、ほんとに境木みたいならちょっと異常だし |
| 筑波嶺を時折り見遣り鮎を追ふ |
| 時折りってなんなのかな? |
| 台風一過鬼怒の河原に鳶の舞ふ |
| 覆ふ葉の翳りに浮かぶ栗の花 |
| 難しい情景を詠もうとしているらしいが、もっとズバッと核心に迫る必要はある |
| 老僧の法事帰りの夏羽織 |
| 比呂 |
| 新米の名無引き馬走り梅雨 |
| バケツごと届きし雑魚や夕薄暑 |
| バケツごとというと、雑魚はバケツに入れとくものみたいに感じません? |
| 水幽み軋る舷夕立風 |
| 棚田植う千の絣を織るやうに |
| 絣を織るように田植えするってのは面白いが、千の絣ってのがまったく分かんない |
| 夏羽織脱ぎて清らに枕経 |
| 坊主の夏羽織ってのがどうも理解できないんでね、ご免! |
| 鴻 |
| 閑古鳥尻尾上げ下げ鳴き踊り |
| 夕餉時水鶏たたくや狼藉に |
| 狼藉は考えましたが納まりが今一 |
| 自転車で走る僧侶の夏羽織 |
| そうだったんでしょう、だけど見たということの報告ではなく、見て何を見たかなのです |
| 日一日緑色増す青田かな |
| そうなんです、誰が見てもそれは分かります、だから、誰もが見ていながらそれを誰もが気がつかないとらえ方で表現しなければいけません |
| 夕薄暑川辺散歩の家族連れ |
| 敬子 |
| 俎板をかえて四角の西瓜きる |
| 西瓜用の俎板のある家って理解できない、四角いスイカなんてのも特殊すぎて、食って美味いものではないそうだし |
| 鴨居までとどく身の丈夏羽織 |
| 夕薄暑駅へ駅へと下校生 |
| なにか、騒動でも起きたかのようで? |
| 聞き役の笑ひも一つ樫若葉 |
| まったく意味不明 |
| ダンスパーティ垣根の薔薇が今盛り |
| 今盛りって、俳句は眼前を詠むものだから、今なんて余分なんです |
| 芳子 |
| 鮎釣りの早瀬煌めく日和かな |
| 里を出て幾年過ぎし薄暑かな |
| 夏が来れば思い出す・・て各別の思いのある月なのですかね |
| 初簾吊るして風の広がりぬ |
| 上手くできてると思う、ただ風の広がるがピンとこなかった、感覚的なことで申し訳ないが |
| 成し終へて折り目の固き夏羽織 |
| 成し終えてが分からない、折り目の固き夏羽織はわかる、薄物だけに折り目ははっきりしているものです |
| 見はるかす植田のみどり空を上ぐ |
| ? |
| 健 |
| ドライブの窓を開けれり薄暑かな |
| 街中に涼をよびこむ羽織かな |
| 一応兼題を尊重しましょう、ちょっと大げさすぎますね |
| 薄きもの身は軽やかな夏羽織 |
| 風去りぬ肌に優しき薄暑かな |
| 去りぬってしっかり切ると、かながまた強い切れでいかんね |
| 一服のたばこに似たる薄暑かな |
| 多分そうなんだろうね、タバコ吸わない人も分かるように表現してくれればいいんだが |
| 利孟 |
| 大蜘蛛を箒で逃がす朝薄暑 |
| 立ち手水に掛けた手拭吊忍 |
| 片すべり気味に纏ひて夏羽織 |
| 男はこうはきませんけど |
| ハンカチにアイロンをかけ梅雨籠り |
| 病葉を掻く作務僧のゴム草履 |