8月のもう一言

利孟
包丁を研げば鉄の香秋初め
盆波や浜の高みの船轆轤
朝涼のバタ付パンにミルクティー
むずかる子皆がおだてて初盆会
窓に足上げトラツクの三尺寝
昭雄
ねむごろに畝刈り迎ふ初盆会
初盆の双子の姉に泣き黒子
初盆の光りかそけき奥座敷
初秋やかるく止めおく筆の先
筆先といえば運筆としての筆使いの意味を持つが筆の先といえば物理的な筆の部位になりませんかね
魚影のつつと走りぬ初秋かな
信子
茄子の馬戸惑ひ浮かす足一つ
筑波嶺の女体男体秋はじめ
かまつかや俄に吹きて山の雨
新盆の林となりしお線香
朝の蝉降り出す雨の本降りに
朝の蝉と雨の間のギャップが大きすぎる
比呂
建場てふ素泊り宿や白木槿
新盆や妣の朱文字の残る墓
苧殻焚く風繋ぎたる死者生者
そういう厳密な区分けですかね
日本人の鬼怒鳴戸広島忌
ドナルドキーンね・字が違ってるようです
初秋や小花模様の試歩の杖
試歩とか嫌いだからね
糸瓜棚地面に届く実をつけて
大半は理想通りのメロン収穫れ
黙ってメロンといえばマスクメロンと思うだろうがプリンスめろんですか
初秋や白根見えるは朝のうち
持てぬほど育ち過ぎたる南瓜かな
新盆や仏の好物供へられ
聖子
ふるさとは闇濃き虫の宿なりき
旧道を曲がれば里や迎ゑ盆
初盆の顔ぶれ知らぬ人もいて
初盆や老顔ばかり手を合はす
そんなことも無いと思いますけど
朝の風裾濡らし入る花野かな
朝の風の据わりが悪い
郁子
城山に谺走りて揚花火
初秋の音を掃きゆく簿竹箒
八溝嶺の黒々とあり誘蛾灯
かなかなの鳴きて洗濯機の止まる
なんかうまいこと言われたな
朝涼の路地路地にある無言かな
?無言が甘い
良人
新盆や田中の細き舗装道
初秋や南入道北鰯
入道雲も、鰯雲も季語だしね
門近く背腹つややか茄子の牛
そういうふうにお迎えするやり方もあるということですね
新盆や釣人溜る大河原
罰当たりな話のようでもあるが新盆てのは内輪のことでちょっと使い方が違うかな
初秋や鬼怒川の下手に富士の影
敬子
休診の医師は真顔で金魚釣り
新盆や僧そそくさと経を読む
あんまり坊さんを軽く扱っちゃ川柳です
香炉灰均し初盆迎えたり
初秋やピアノソナタの洩るる窓
改装の夕風招く釣忍
パス
初盆やふるさと遠きラッシュかな
初秋や風の音にぞさやかなり
ぞ何ぞ使うとかかり結びで活用をきちんとしないといけません
初盆や急死の姉と語り合う
初盆や袋の中身悩みけり
深刻な問題だが句材としては俗に過ぎる
朝と晩ひんやりしたり初秋かな
朝涼とか夜の秋とかそんな雰囲気の季語もあることだし・・・
ミヨ
雨情の碑風の踊らす百日紅
夏木立唱ふ般若のおくれがち
地熱りのトマト摘みたり手に久し
たむろして触れる大数珠初盆会
たむろして触れるって、なにか縁起物でも触るみたいね
初秋や濃き日薄き日貨車の影