9月のもう一言

利孟
ままでやり人肌もまた今年酒
どんぐりのころころどこへ行つたやら
悼三澤郁子
髪白くなりて二百十日の朝を行く
裸子の転げて動くこと覚え
生臭さにビール一本秋遍路
お遍路さんが精進ものようにでもなくお酒もというのですがね
信子
巻ホース伸ばし水撒く厄日かな
荒神輿足袋に昂る力かな
牧牛のをちこち二百十日かな
何時か知ら眠りに虫の終夜
晩年に晩年の日々今年酒
晩年に晩年のは当たり前ですから
比呂
二百十日笑ひ閻魔の欠け金歯
鳴き初めは連打もありぬ鉦叩
屋敷神へ二合徳利の新走り
お神酒徳利、貧乏徳利なども
間伐や杣は切る木を寝かすとや
こともなく過ぎし厄日の捨て欠伸
面白いけど捨て欠伸って何か意図的で、欠伸が無意識のものという感じとそぐわない
聖子
二百十日背高きものを薙いでゆく
雨乞ひの禰宜大げさに祓ひけり
大げさには不謹慎、大きく幣を振ってみせているのでは?
流木にかけて釣糸秋の湖
杉玉の揺るる小さき古き蔵
小さい蔵が蔵の雰囲気とは違う
初入選祝ひの新酒届きけり
何の入選だったのかな?
昭雄
喝喝と厄日の軍鶏の高歩み
反骨の背筋の緩む新走り
緩んじゃ普通風、そうでは無いでしょう、反骨なんですから
新酒酌む師の玉杯は江戸切子
玉杯は玉で出来てます、切子の杯は玻璃の杯です
スカイツリー見上げる二百十日かな
百薬の長と頑固の酌む新酒
頑固者が嬉しそうに飲んでるというのだろうが、酒飲むなと言われてるのにとか何かあるのか?だけど、酒ならこんな場合なんでもよいはず
敬子
コスモスの風を道連れ歩荷行
歩荷行く
里山の蒼き夕暮れ厄日かな
蒼く暮れると平穏な感じですちょっと違う色、赤っぽいとかの方が
膝がしら叩き利酒極めたる
どんな利酒だったのか、極めるが理解できない
秋立つや仮設の子等のハーモニカ
峡の宿ほうほう月の角笛に
三日月が角笛のごとく響いていたというのでしょうね
ミヨ
あらかたの農事治めて厄日かな
納めるでしょうね
一献や青とうがら串焼す
ひたぶるに石工鑿打つ音の秋
馬返しいよよ渡瀬や虫しぐれ
二つが地名なら、それが分かるように詠まないと
新走り手足れ石工の子持蝦蟇
石工の作業と酒とが遠過ぎないか?
良人
草千里牛の群追ふ秋アカネ
秋あかねかな、茜色の秋の夕暮れと間違えると重次にはいわれたけど
スカイツリー二百十日の空を突く
遠い雲いつしか染まる秋の暮
小夜更けて虫の音消ゆるしじまかな
高々と雲を浮かべて天高し
天高しに高々ではちょっといただけない、いくらシチュエーションを言ってもそれが分かるように詠まないと難しい
人肌や新酒の燗は日向でも
泥鰌鍋食する二百十日かな
竹つつに香り満ちたる新酒かな
竹の香りか、酒の香りかよくわかん無い
新しき袋に入れる新酒かな
やはり皮袋のワインを思ってしまう、それでも悪く無いんだが
狼や二百十日は少年だ
二百十日と騒いでも何も無いじゃないか、狼少年みたいだということらしいが、バツ
陽に映えて旧家の軒に柿のれん
夕空に体形変へ変へ渡り鳥
少しでも被害を防ぐ厄日かな
亡き父に新酒供えて墓参り
墓参りなら亡きに決まってるわけで字数がもったいないでしょう
ひつそりと田圃に残る案山子かな
当たり前で、ひっそり以外の言葉をみつけなければ発見とならない、この17文字が捨て案山子の一言で片付いてしまうのです