10月のもう一言

利孟
零余子飯砂一粒を噛み当てて
うす甘き餡の焼き餅紅葉茶屋
山の水溢れて澄める庫裡の槽
もみずれる辺りで交差ケーブルカー
だんじりの笛に蹤く鉦十三夜
信子
新米のむすび掌弾ませて
掌は弾まないね、掌におにぎりが弾むならまだしも
陶の市来て民宿のむかご飯
尻取りの「ん」でお開き十三夜
十三夜てこうやって遊んだりする?、季語をもう少し考えよう
夕星へ仕舞ふ紅色酔芙蓉
後の月駅出て渡る橋の上
昭雄
後の月歌口湿す篠一管
篠笛一管はあるけど篠一管は無いでしょうね、知ってるからと行ってひけらかして失敗
仕舞風呂夕べに掃ひた落葉焚く
掃ふ」という言葉はないから、ハ行には活用しません、蔕に間違うくらいなら旧かな遣い風をしない方が安全
弾痕に戊辰の秘話や零余子飯
語ればよいというものではないでしょ、悲話なんていうからつまんなくなる
竜笛は悲恋の音とや後の月
ずいぶん、笛の研究をしたようで
逢ひたくて手紙を出しに十三夜
ほー、今時ねー、源氏物語の時代ではあるまいし、
ミヨ
秋野水汲み上ぐ水車杉葉搗く
揚水の水車じゃないからねー
定年なき農の明け暮れ零余子飯
無言館出でて余憤のみだれ萩
余憤?
仮小屋の達磨座りのしめじ売り
達磨座りがわかるような分からんようなでパス
十三夜湯けむり登る火口壁
火口の中に温泉があるて?
敬子
十三夜兎の尻尾少し欠け
ちょいと洒落てるね、きっと例句はあるだろうけど良しだ!
峠茶屋日替りメニュー後の月
三句切れ、日替わりメニューてものかい?、他の日は何出すね
吹かれ来て吹かれて去りぬ飽きの町
残照になほきらきらと金木犀
みちのくの旅につづるや鰯雲
比呂
無花果の無聊の形に嘯けり
無花果の穴がなんか口笛拭いてるみたいだってか?
凶作や弊衣破帽の案山子翁
アンザンシと読ませりゃ翁が要らない、弊衣破帽て言うと旧制高校生となるんだ
子を二人生し腰豊か馬肥ゆる
馬のお産かと勘違いする
繩絡めたる馬柵の閂草の絮
零余子飯山に奉りし海の神
芳子
十六夜父子は並びてただ黙す
葬列の先頭に父通草の実
山の中の墓への野辺送りてのはよく分っちゃうんですね
秋野菜無農薬てふ三文字濃き
蒼天に音広がりて零余子飯
零余子飯を野外で音立てて食ってるてことになるでど
くるくるとピアノ弾く指秋日和
くるくる?
良人
黒々と筑波嶺照らす後の月
黒々と、照らすは並立するのかね
山峡の棚田に居着く後の月
居着くっていうとそこにとどまるようで、居着きの方がたたずまいみたいな感じかな
山の湯の宿の朝食むかご飯
後の月照らす松島七ヶ浜
盛る椀にこぼれる香り零余子飯
柿の木や葉から実にへと化粧変え
熟れ零余子触ればポトリ落ちにけり
噂聞き初めて作る零余子飯
噂ってことはないでしょうね、零余子飯はむかしからありますし
畦道に美人案山子のコンクール
なるほどね、畦道は大丈夫か?
高原の風に波打つ夕芒
観月や芋ありけりも栗と豆
ほろ酔いや暈は八重たる後の月
暈の被った月って何となく丸い気がするんだね
山芋や根はトロロ飯実は零余子
トロロにはなるが、トロロ飯にはならない、みんな知ってることだし
皓々と川原を千里後の月
光る帯中禅寺湖の後の月
木瓜
雲走る煌めき静か後の月
秋深し趣味極まらず飽きもせず
面白いし、評価する結社もあるが、すぎなみきはそういう傾向にはないのです
食べもせず想うばかりの零余子飯
そうだろうけど、できるだけ経験する方が素材に迫れますわな
小母様の香りこぼれる零余子飯
小母様に若い小母を読みとって欲しかったらしいがまあ、それは無理なわけで、オバサマが作るほどに上品なものでもないし、オバサマノカオリてのは香水かの香りみたいでおかしいね
亡き友の姿霞みし後の月
月を見れば様々が想われるが、こういう素材で共感読んでもなんの詩的感動もないと思いません?
巴塵
お手水や弓手に映る後の月
水を掬う左掌に月が映ったて、無理だろうな、努力賞
ほっこりと零余子ごはんの夕餉かな
ほんわかしたひびきかな
国ぢゅうを神嘗の月照しけり
神嘗祭の夜の月を神嘗の月と略すことが出来るのだろうか、?
十三夜稿鉄砲に囃子うた
確かに稿に「わら」の音はあるし、ATOKでも変換している。わら半紙の語源のワラはこの字からくるようだが、当用漢字表では「ワラ」の音を配していない。また角川の圖説大歳時記(比較的古い)の収録句中にこの文字を当てたワラの句は無い。あるから使って良いってもんではないんで、適切な用字があるべきでしょう。
零余子摘からむ篠竹印つけ
零余子をつむのか、山芋の在処に印をするのかどっちかでしょうね
一構
美人林山毛欅百幹に後の月
美人林と呼ぶ山毛欅の盛りがあるらしいがまあ無理だわ
後の月我が手のひらの運命線
しみじみと見たんだろうね、だけど分かんないな
麻酔醒め妻のうわごと後の月
秋の朝大地踏みしめ退院す
相撲取りじゃないから、大地はどうしたものか
薄暗き繁華街の夜後の月