2月のもう一言

春の雪消えて目鼻でありし炭
吊し雛ゆれて女雛の口笑ふ
ミヨ
秘湯温泉のかろき桶音春浅し
梅日和路地を入れば犬返し
籠もる日の戸をたたくかや雪しまき
浜焼の炭火呆けて安房泊
五穀米足るる旦暮や初彼岸
比呂
如月や魔鏡の映すよもつくに
身を反らす足漕ぎ舟や春浅し
耳痒さうな顔の狛犬枝垂梅
昨夜の雪ほろと零して梅三分
猟師小屋まどゐて猪の煮詰まるる
昭雄
雪折れの木霊鋭き奥白根
欄の真朱な古刹梅真白
ポケットに菜のみの春の拳かな
スカイツリー何処も正面梅真白
梅真白美しくはかなくおそろしく
巴塵
室の八島梅の煙の白く立つ
梅四録ふはとかゝりぬ朝の月
癒しあふ待合室や春浅し
主なき梅の立枝や下枝かな
古手紙梅の折枝色心
田舎道日影に積る残る雪
電線に丸く膨れた雀たち
盆梅の咲きたる部屋や夕日射す
紅梅や庭木の中にひとり咲く
梅園に方向漂ひ歩を止める
信子
今生の関東の雪掻きにけり
しんしんと闇音鎮め真夜の雪
春浅き水迸る鯉の川
逆転の笑顔泣き顔スケーター
スキーヤー着地決めたる息づかひ
枝垂れ梅旅のはじめの武家屋敷
聖子
知事室へ運ぶ梅鉢八分咲き
春寒し窓の結露の議会棟
老木の木々に降る雨梅の花
春浅し館案内の響く声
梅開花送らせてなほ雨続く
梅散るや古紙にメモして伝言す
輝子
月明かり傾き浮かぶ白き梅
透ける空早咲き梅の薄化粧
昼過ぎるスコップの音残る雪
梅の菓の香り頂き花と見ゆ
陽を受けて薄着したるか浅き春
良人
身の丈を堤に隠す梅並木
梅林の香籠りたる抜け小路
遠山も空もうすれる浅き春
野の空の青さ薄れし浅き春
日の光受けて白梅色を増す
一構
ふくふくと膨らむ梅や雨を乞ふ
梅白し石段に置く作務箒
春浅し日差し称へて出勤す
春浅い無人駅にもある別れ
春浅し朝の湖日が走る
木瓜
春浅の小雨纏いて木々静か
川流る洋々として春浅し
春めくや無風なれどもときめかん
絵てぬぐひ重ね眺める梅の花
梅たちて香り散りぬる郷屋敷
敬子
春浅しからくり時計うたひだす
春浅し枝に長居の番取り
閉店に七福神の氷柱かな
紅梅の葛折なる東屋に
雲流れ心やすらぐ梅の茶屋
梅の香や境内包み絵馬並ぶ
まだ未熟若者達は春浅し
香散見草菓銘の和菓子色がつく
頑張るや前を向いても春浅し
まちおこし地元咲かせる梅の里