10月のもう一言

利孟
木洩れ陽のゆるるを見つめ秋の駒
ひしめいて瓶に蝗の数増える
日の光受け銀杏の白さ増す
川底の石に湧く雲水澄めり
竜胆や風に硫黄の香の薄く
昭雄
蝗跳ぶ渾身の蹴り胸におき
鵙高音濡れ手で開ける厨窓
水澄むや農婦下げ来る大薬缶
雁渡る頃かと見上ぐ郷の空
見上げてそんな季節になったのかという感慨なのだろうが、うまく詠めてないかも
新蕎麦や樋の水音天に抜け
天に抜け?
信子
茹でられてまだ跳ぶ容蝗かな
ふくらんだ袋の蝗自慢かな
水澄みて箔新たなる陽明門
銀漢や海に陸地に生と死と
柿の実やジョージと交はす日本語
まあ、ジョージがいるかもしれんが分からんね、どんな情事の睦言かと誤解しかねない
聖子
鳶の腰の七つ道具や天高し
ぬかるみの田に踏み込みて蝗取り
秋場所や勝ちて巻き取るテーピング
あんまり美しい光景ではないね
蝗取り香り懐かしいろり端
蝗取り触るるやいなや飛び立てり
一構
畦道の日向日陰に蝗跳ぶ
雨上がる窓を開ければ秋の色
蝗跳ぶ童の口のうす笑ひ
不気味な子としか見えないのだが
好奇心まだまだありぬ温め酒
新米や産地日付を見比べて
良人
風音に追われ飛び立ついなご追ふ
水澄むや男体山の薙定金なり
そよと吹く風の調べや水澄めり
川渡る風和み来て水澄めり
水澄むや瀬音風音沢を往く
ミヨ
水澄むや池塘丸ごと茶臼影
芒綿飛んで風住む牧舎かな
入山の掟三行鹿の声
落鮎や墨絵ぼかしの雨模様
目瞑るは祷りのかたち祭笛
そんなに難しく言わなくても
追えば逃げ追はねば隠る蝗かな
腰に提げ袋ふくらむ蝗取り
敢えて上六ではっきりさせましょう
居酒屋の手塩に盛らる蝗かな
水澄むや若者たちの胸はずむ
水澄めりつぶらな瞳輝けり
切れが二つあると落ち着かないでしょう
芳子
終電の駅舎の灯はださむし
ひとつずつパズルが解けて冬はじめ
多分ジグソーパズルのことなんだろうが、ひとつずつパズルがというと難問かのクイズを解いてゆくというふうであんまり面白くない
あふれきし陽の香広がる稲架襖
水澄むや城下の街並みはるかなり
はるか?
赤銅のつきとノーベル賞の秋日和
木瓜
いなご跳ぶ力いつぱい目の高さ
水澄みて老魚の気配息深し
水澄むや我を純へと誘へり
水澄むやで、もうそういう境地なんだよね、そんなこと言わんで良いんだ
蝗撫ず早半世紀前のこと
蝗撫でるなんて人がいるか?、半世紀前のことでも今のこととして詠むのが俳句で、半世紀前にそういうことがありましたというのはただの記録
人の道それはいろいろ秋の暮
輝子
父偲び皆既月食夜の秋
杉葉踏む水車に流るる水澄めり
繰り返す濁流なれど水音澄めり
網の中羽鳴く蝗顔を蹴り
遠くから母の炒りたる蝗でせう
おもしろいけどね
巴人
水澄みて鯉色散らし泳ぎをり
道ばたや蝗連なり穂の戦ぐ
水澄むや澄みて鋭く見ゆる?の目
水澄みて流れる雲のゆくばかり
行雲流水っていいますね、雲水の語源だとか
畦道や花火のやうに跳ぶ蝗
比呂
白木槿二頭嘶く馬車溜り
二頭が?
蝗取りたの主の犬吠えてをり
紙一重の運の良し悪し曼珠沙華
そんなこともありましょうが
本尊は片手観音郁子熟るる
水澄むや誰がいふ湖の主
敬子
六地蔵まつる峠や柿熟るる
水澄むや手すさびに折る金の鶴
手すさびはいらんでしょう
曇天にどこに居るのか蝗取り
秋の虹仰ぐ長縁武家の里
武家の里ねえ?
少年のリュックの列や鰯雲