2月のもう一言

利孟
やうやくに乗れた自転車二月尽
縁者皆逝きし夫の里鰆食ぶ
三椏や水音著き紙の里
やっぱり三椏の花と言わんといけないんでしょうね、
春一番崩れ土塀の土つもる
なまはげにつききて闇に立つ子かな
昭雄
三椏や石で押さへる軍鶏の籠
三椏を蒸すや土呂部の深廂
良い句です、ただ、三椏の花とは季節が違うのでしょうね、楮蒸すと同じ季節感でしょう
春の字の清く正しき鰆かな
たしかに春の魚と書くが、それがきよくただしいかといえば?、まあできなかった苦肉の句なんでしょうね
三椏や白煙上げて湯気あげて
これも蒸してるのね
鰆買ふ百日参りの宮を辞し
百日参りが明けての精進落しなんですかね?、わからない
敬子
囲碁を打つ窓辺三椏花明り
三椏の花簪や青春期
鰆釣る名人漁夫の三代目
なんてこと無い句だけど
初苺とちおとめとや道の駅
もう全国ブランドでわざわざ言うこともないけど
波しぶき漁師の胸に鰆はね
信子
島にしにひがしに灘の鰆船
ひと振りの塩の塩梅鰆焼く
出帆の水尾曳く明けの鰆船
好晴の影の旋律冬木立
なんか難しいばかりでもっとすっきりした言い方ないかなぁ
三椏の花母の忌の夕明り
個人的な話やね
比呂
早春や節子主演の小津映画
なんか春とかつくような映画が多かったような、原節子がひそかに逝ったことへの挨拶でしょうが、分かる人は少なくなってるでしょうね
大寒やシルバー大の蕎麦クラブ
シルバー大が分かる言葉なのかです
雪匂ふ卒都婆小町の半跏像
難しい材料だね
鰆焼く出世無縁の老教師
良いね、今時いなかろうが、昔の宿直なんて風景を含めてなつかしいね
三椏や魯迅の小さき薬草園
ほう、そういうのが本土にあるんですか!
聖子
三椏や山あげまつり神宿る
お祭りには神様が降りてくるのは当たり前で、その依り代として三椏というならそれなりに詠んでやりたいですね
自家製の味噌たつぷりの鰆漬け
こうすれば切れも生まれてすっきりするでしょう
押し下る坂の自転車空つ風
風が強くて下り坂なのに下れない、それは本当でも無理な句ですね
三椏や殺生石の風に揺れ
たしかに殺生石が風に揺れてるとも読めるね、「の」を主格にとらえるか、所有格にとらえるか、どちらが正しいというのでは無いのです
旬告げる鰆のパック届きけり
食べ物などは旬をとらえて季語とするのだから、あらためて旬などというのは蛇足です
良人
三椏の花にやはらぐ通り風
瀬戸内の播磨に傾ぐ鰆船
三椏の花にやさしき小糠雨
まあ、小糠雨てのはやさしいという言葉を内包しているような降りようだから言い過ぎだね
雨けぶる野に三椏の花咲けり
同じような句を二句出してもね
三椏の花垂れ咲くも憂ひなし
うなだれてるけど別に落ち込んでるわけでは無い、ではなんなんでしょうかね
ミヨ
冬甘藍煮減りし程の味ひたり
岬回やすれ違ふ婆の水仙花
大皿の鰆より食す安房泊
そうですか、鰆の尾頭付が大皿にドンみたいで違和感があるね
空きがちの床屋の椅子や三椏花
空きがち?、空いているなら分かるが、どっちにしても床屋の椅子は職人の数より多いのが普通のようです
渓流の水音沈め寒晒
寒晒し粉でしょうが流れにさらすようなものではないように思うのですが
焼き魚この上なしの鰆かな
縁遠き本命に義理チョコレート
義理チョコが季語かには大いに疑問があるが入選
散歩道小川の瀬音水ぬるむ
確かにそうだけど、作者の目は無いわね
三椏や幾何学模様に似たりけり
まあ似てるとかは言わずに、幾何学模様と言い切れるだけの観察が無いといけないね
山路来て三椏の花に迎へられ
なにやら床しすみれそうてのがあったね
輝子
特売の鰆塩焼き瀬戸に盛り
瀬戸、有田、備前、それぞれ器だが、食卓なのか、特売場なのかが皿の大きさで分かるでしょう、特売で買ってきたのか、特売で売っているのか
眠たげな車窓の山の浅き春
眠っていた冬の山が眠り足りないってちょっとした季語での遊びでしょうかね
ゆるり風甘みそ鰆の夕餉かな
風吹きてみつまたの花頭振り
風で揺れるでは当たり前なんで
イニシャルでバレンタインの贈りもの
なにか見えてこないな
木瓜
渦潮に直の一文字鰆跳ぶ
梅の花百人百様個を持ちて
梅の花ひとつひとつに違いがあるというのは観念的には正しかろうが、句にするならその違いを明確に詠んでみせなければいけませんね
三椏や大和を語る柔心地
立春や幾たびなれど皆新た
日々に新しいのは結構だがそんなことでお茶を濁す作句はいただけませんね
壺焼きや螺旋の思考蜷局巻く
難しいことを分かりやすく言えなきゃだれも振り向きません