10月のもう一言

利孟
鉾杉の明るむ穂先稲光
搗き終へて湿り仄かに今年米
縫ひ止しの針を残して星月夜
吹けば飛ぶほどの樽の香温め酒
富士新雪野鳥の漁る大干潟
昭雄
星月夜いつも夜干しの練習着
奥白根山触れんばかりの星月夜
新米を軒まで積んで眠る村
今年米母のリズムで研ぐ二合
潦映して揺れる星月夜
揺れるのは水たまりでしょうね
ミヨ
大寺の袖の荒壁すがれ虫
新米を一握り炊く土鍋かな
星月夜だんだん畑の一部落
竹林や顔冷ゆるほど立ち尽くす
古筆の癖を癖とし返り花
比呂
星月夜宿は船の名浦泊
鳥帰る抽出しに錆び肥後守
原句でも良いのかもしれないが「錆び肥後守」は落ち着かない
産土神に奉ず新米美し国
腰叩く棚田刈る人皆叩く
目瞑りて聞く香の声秋海棠
香を聞くとはいうがそれは香の声を聞くのではなく、薫りを聞くのです
良人
新米の土産目を引く道の駅
別に土産用のしんまいというのがあるわけでもなかろう
田の神に捧ぐ新米にぎり飯
新米や越後の宿の朝の膳
星月夜男体山覆ふ闇を消す
男体山が闇となって浮かんでいた、その闇の山容が星月夜で明るく照らされているというのか?、分かりづらい
越後より歳々届く今年米
輝子
栃の実のままごとの後昼下がり
背に一升孫の踏ん張る今年米
術後の寝むれぬ吐息星月夜
新米のお焦げ見つけて醤油かけ
今年米病身なれど粥にせず
粥にはしなかったという内面の行為を詠うてのは無理なんです、俳句には
信子
後の月あしたへ残す畑仕事
折鶴の千の嘴初しぐれ
「ケータイ」の絵文字の笑顔十三夜
島国の大島小島星月夜
新米も玉子も地産朝ごはん
美味しいけど発想が当たり前すぎる
聖子
新米を積むトラックの坂越えて
堆く積む新米や猫の番
スーパーの試食新米の塩むすび
新米の精米の度の香り立つ
当たる前のことでしょう
新米や母の手縫ひの布袋
確かに昔はあったんだが、現実感がないでしょう
青樹
星月夜漁船出を待つ船泊まり
風邪に伏し新米の粥に梅を添え
風邪は季語ですので季重りです
織姫の下りて来そうな星月夜
織姫は季語でしょうね
新米を炊く香流れる厨かな
素直な句です
パパ帰る足音を待つ星月夜
木瓜
新米に百年来の釜応ふ
百年使ったから炊き具合が良くなるてものではないから、応えるはいかがか?
人生はまだこれからも青蜜柑
梨かじる透明の感突き抜けり
なんとなく敬礼したき秋の空
秋の空への感動を感じた、その秋の空を何となくでなく具体的に活写するのが俳句です
星月夜無限に命脈動す
一構
星月夜太鼓響きて稽古終ふ
写真機をうしろに置きて温め酒
実景ではあるのだろうが、それだけのことでは?
病む妻に土鍋で炊きし今年米
ぼんやりとショパンを聞きし星月夜
ショパンは名曲でしょうが、どんな句を思うかが人によって分かれるから受けるかどうかは読者次第という句です
秋の朝紙に包んだ足の爪
汚いものを詠んでも綺麗にできるならいいけどやめた方が良い
敬子
オカリナの音流れくる紅葉忌
敬老会白寿の社交ダンスかな
敬老会は季語には難しい
新米や山坂多し旅の宿
三句切れにする意味が無い
先生の声よく響く運動会
すつきりと細きジーパン秋始め
すっきり細いはただの当たり前でしょうね
新米の銀舎利握るマグロ寿司
銀舎利は俗に過ぎるし、酢飯は言いません、
新米や瑞穂の国にいざなえる
いざなふ
星月夜宇宙の旅に誘いけり
新米が故郷から届き絆かな
新米が故郷から届くてふ絆
星月夜震災の街包みけり