7月のもう一言

利孟
夏の海崖に囲はれ耶蘇の寺
水無月の闇へと光り滑走路
とどめ差すやうに連発花火果つ
炎昼や戦闘服に草生やし
噴水の鶴吹き上げた水浴びて
良人
水無月や風の通らぬ山毛欅の森
噴水の際のベンチは席うまる
噴水の音に溶けこむ鳥の声
溶けこむのかな?、消されること?
水無月や上りの続く棚田道
まあ棚田ですからね
水無月や竹林の道風通る
風の通り具合にこだわらぬよう願います
ミヨ
大暑かな銅山に真向ふ溶鉱炉
訛こそ最上舟唄青時雨
水無月や出羽巡礼の笠湿り
笠ってのは風通しは悪く無い、雨が降って濡れたりというので、笠濡れてとかはありそう
夕日中大噴水の砕れけり
くづれる、くだける別の字です
蜩や尼の説法たうたうと
寂聴あたりならこんなかね
比呂
逃水や浮くごと走る救急車
名医師の百余に果てぬ白蓮
こういう挨拶はあってもいいね
放牧の赤毛黒駒雲の峰
赤毛といえば牛でしょう
夕風にのりし梵音軒風鈴
梵音なんて難しい言葉がよく出てくるね、読経のこと
雨の日の噴水さらに叫びをり
信子
山揚ぐる踏んばる百の祭足袋
噴水や官庁街の昼休み
まだ切り取りがきいていない
支流集めて青水無月の大河
破調の割に中身は当たり前すぎですかね
水湛ふ古代のしじま蓮の池
ビル街の地上地階の辱暑かな
敬子
目標は日に三千歩雲の峰
その覚悟や良しではありますが私事でしかない
佳き声で空を切りさく夏燕
燕が鳴きながら飛んでるというイメージは無いんだが
水無月や番鳥鳴く冠木門
噴水の俳句愛せし友米寿
新緑の森へシルバーカーを押す
シルバーカーてすでに辞書に収録されているんですね
炎天の白球追って砂ぼこり
水無月の空の青さや深くなり
やで切ると青さが深いとならない、やの強調をかなに変えるとこうなります
噴水の池のほとりに子らはしゃぐ
池のほとりは噴水を言えば不要ですね
風鈴や路上ライブの露天商
路上と風鈴の関係、露天商の売声を路上ライブというのは疑問
噴水のきらきら光る水柱
素直ではあるのですが、食い足りない
木瓜
こち向けと遠雷我の頬撫ずる
完熟の型崩れせるトマト食ふ
完熟の歪なトマトを食べましたというだけで、何かありますか?
噴水や天辺に来て力抜き
水無月や変色したる誕生日
変色したるというとなにか深刻な事情でもあるかとも思うがさっぱり分からない
球児負けざらり短き髪洗ふ
素材は面白い、いろいろ詠んでみて
青樹
水無月の軒に干瓢白暖簾
水無月、干瓢剥く、干すそれぞれ季語です
水無月の田に動かずの鷺一羽
動かずのてのは苦しい
噴水にベンチ追われる女子社員
女工とかOLとかいうのだといくらか見えてくるんだけど、女子社員というのはイメージが漠然としすぎる
噴水に紛れ危うく黒揚羽
似た景はありそうだけど表現をどうするかで
噴水の涼を拾ひて昼寝かな
これは、上中下それぞれが季語ですね
昭雄
噴水やテニスコートに今朝の線
噴水を宥めてをりぬ通り雨
水無月の着信音や娘のメール
さすがにこれは無いでしょう
水無月や絵巻のやうに山展け
そんな絵巻物が具体的にあって、大方があれか!と思うようだと効いてくるのですが
常夏月ガラクタ市にマリア像
一構
写真展終わり噴水止まりけり
写真展のために噴水を動かすという必然は?
亡き友の小さな墓や糸蜻蛉
小さな墓やなんてそうあるものではない、亡き友というからには同年代でしょうから、違和感を感じるのです、小さな墓や糸蜻蛉は悪くない、安直に友達を殺しちゃったのがいけません
噴水や天まで届け孫の夢
これはまたあからさまな孫俳句
池の中苔の巖に糸蜻蛉
夕立や静かに話す人と居る
巴人
巫女の居て水無月祓へ薄化粧
水無月祓えが化粧するわけも無いですから
吹き水の穂先まどわす町の風
吹き水という用例は少ないのに、敢えて使うほどの意味のある句は無かったようで、奇をてらわず噴水で良いのでは
大暑の日山に雲置く烏山
大暑に日はいらんでしょう、山が背景の山でも山揚げの山でもとれそうではっきりさせてって感じ
よもすがら吹き水謡ふ泉町
謡う?
吹き水のさゝらぐ宮にあそぶ鳩